2016年06月14日

長い筋交いは弱かった


熊本地震では、古い家が多く倒壊しました。筋交いも釘だけで留めている家が多かったようです。
では、新しい金物を使った建物が大丈夫だったかというとそうでもありませんでした。

そして、今回の地震でわかった事は・・。
長い筋交いはダメなようだ〜・・です。

16-0614.gif右の図は、筋交いを910mmの柱ごとに筋交いを2本いれたもの(左図)と、1.82mの柱の間に一本だけ入れた筋交い(右図)です。
耐震計算上は、実は同じ耐震上の強さを持つものとして計算されています。
しかし、熊本地震の事例を見ると、長い筋交い1本で構成された筋交いは、2本で構成されて筋交いの0.8倍程度の強さしかなかったようなのです。

前回の説明しましたが、筋交いは筋交いの両端の金物でしか留められていません。底に集中的に力が加わります。
左図の2本筋交いを利用した場合は、4つの金物で取り付き、1本しかない場合は2つの金物でしか付かないのですから、考えればそうですね。
いずれにしても熊本地震の事例を見ると「筋交いの多用はよくない」と思ってしまいますね〜。

でも筋交いの強さなど、国が実験をして決めていそうなものなのですが、地震のたびにいつも新たな問題が浮かび上がってきます。地震対策に「完全」という言葉はないようです。

次回は、アパートはなぜ倒壊したのか。
学生アパート全体がつぶれて3人の大学生が下敷きになり無くなりました。
きれいそうな学生アパートの何が、倒壊の原因だったのか。
日経の資料からお送りします。

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2016年06月09日

筋交いは戦後の産物


軸組工法で多用されてきた「筋交い」
でもこの筋交い、実は戦後の産物なのです。

★エドワード・S・モース 「日本の住まい」
だれしも観光などで神社仏閣に行くこともあるでしょうし、明治時代の古い建物なども観光地には残されています。でも、これらの建物で筋交いが使われた形跡はありませんね。少なくとも見たことがありません。
16-0609.gifエドワード・S・モースというアメリカ人が、明治10年〜12年の間に日本を訪れ、建物の印象を克明に書いています。そこでは、「建物の骨格に筋交いはない。」と明確に断定した上で、続けて「しかし、建物の構造体が弱いときは、(略)控え柱によって柱が補強され、栓でとめられることがある」と書かれています。
控え柱とは、挿絵によると「方杖」や本当の意味の「つっかえ棒」です。

★筋交いは戦後の産物
つまり、私たちにとって非常になじみの深い筋交いは、実は戦後、戦後復興と高度成長の時代にあわせて設けられた耐震上の仕組みだったのです。
しかも、昭和25年の時点で、たすき掛け筋交いの強さは、今の1.5倍と決められていました。さらに、その筋交いは釘2本、あるいはかすがいで留めるだけで良かったのです。

まぁ・・。今から思えば、せいぜい「つっかえ棒」程度の強度しかありませんね。
筋交いプレートが公庫融資の仕様書にかかれだしたのが、昭和55年頃です。
これも使うのは任意ですから、その当時でも釘だけで筋交いを留めている工務店も多くありました。
筋交いプレートを使え、と法律で決められたのは、なんと平成12年。

★高度成長、大量生産の産物
戦後復興と高度成長の時代は、何よりも早さが大事です。悠長に建物など作っておれません。また、戦後多かったのは地震ではなく台風被害でした。そのことも「釘だけで留めていい筋交い」が大手を振ってまかり通っていた理由の一つなのでしょう。

★検証のないまま便利に使われてきた筋交い
今でも軸組工法(在来工法)で建てる工務店が、大工が後生大事に守っている「筋交い工法」
その歴史を知れば知るほど、検証のないまま便利に使われてきた高度成長、大量生産の産物、おそらく、早く建物を建てるための妥協の産物だったのでしょう。

伝統工法だ、なんだかんだと言いつつ、歴史的実体のない筋交いを伝統工法だと思っていたら、それは大きな間違い。そんな勘違いをしている工務店、大工には要注意ですね。





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2016年06月07日

筋交い破断と柱の引き抜き多発


3つめの熊本地震の特徴は、『筋交い破断と柱の引き抜き多発』にあります。

定着するかどうかわかりませんが、この特徴を関係者は『波状的地震』と名付けたようですが、熊本地震の特徴に、必殺KOパンチ連続2発とジャブの集中(波状的地震)がありましたが、そのために、筋交いが破断したり、筋交いの付いている柱が引き抜かれる家屋が多発したようです。

筋交いが多く破断した理由は、繰り返し繰り返し、しかも極度に集中して訪れる波状的地震に対して、『筋交いに粘りが無かった』ためと考えられています。

★耐力壁には、『筋交い』と構造用合板やダイライト、MDFなどを使った『面材耐力壁』の2つがあります。その違いは、下図からも明らかですね。

16-0607.gif


★筋交いは、柱に止められますが、筋交いの両端の筋交いプレートという金物だけでつけられています。この金物に使うビスの量は一般的に26本です。

★構造用合板などの面材耐力壁では、軸組工法の場合150mm間隔で釘を打っていき、その数は階高2.8mの建物では68本にもなります。

見てもわかるように、「筋交いでは、どうしても筋交いの両端に力が集中してしまう」のに対して、「面材耐力壁では力の分散が出来ます」ね。

この分散と集中の違いが、『波状的地震』という特徴が加わって、『筋交いの破断や柱の引き抜きの多さ』になったのだろうと思います。

★でもそれだけではありません。
筋交いの歴史って、本当に新しく、本格的に使われ出したのは戦後の建物からなのです。
その話は次回に・・。

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2016年06月02日

12ラウンド分のジャブが、1ラウンドに集中


熊本地震の特徴の1つめは、一発KOパンチが2回たてつづけに襲いました
それは前回お伝えしたとおりです。
2つめの特徴は、ボクシングで言う12ラウンド分のジャブが、1つのラウンドに集中して放たれました

ボクシングは12回戦、15回戦など大きなタイトルの試合はラウンド数が多くなります。
そして、ボクシングでジャブはいわばけん制として、1ラウンドに何度も繰り出されます。

これを地震に置き換えるとわかりやすいです。
ラウンド数は月数です。ジャブは余震です。
ジャブは大きなダメージは決して与えませんが、繰り返し打たれるといやなものですし、ダメージの蓄積につながります。
さて・・・。

阪神大震災の時の余震が1000回を超えるのに1年かかったそうです。
ところが熊本地震では100回の余震に達するのに、たったの1ヶ月しかかからなかったそうです。

16-0602.gif


う〜ん。
一発KOクラスの本震が2回たてつづけに襲い、余震が1ヶ月に集中して起こると、よほどの建物でも受けるダメージは大きいですね。今までにこんな地震(本震2回、余震集中)は初めてです。
そんな中で、「筋交いはもろい」という傾向がわかりました。

それは次回に・・。

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posted by WM.Hori at 10:06| Comment(0) | 熊本地震に思う

2016年05月31日

震度の感覚


熊本地震の特徴の一つに「震度7の地震が2回きた」というのがあります。
実は、「震度」というのが感覚的にものすごく曖昧で、震度1から震度7まで階段的に続くので、震度7は、震度5の2ランク上の強さ、と思いがちです。
でも、震度と加速度(ガル)の関係は、下の図のように階段的ではありません。

16-0531.gif


また、加速度(ガル)もわかりにくい指標ですが、あえておおざっぱに言えば、加速度=殴られる強さ、パンチ力と考えるとわかりやすいかもしれませんね。

たとえば、上の図で震度5の加速度(ガル=パンチ力)は、80〜250の範囲です。
震度7の加速度(ガル=パンチ力)は400以上で、阪神大震災の時は891ガルだったそうです。
そうすると、パンチ力で言うと、震度7って、震度5の3.5倍以上(891÷250)のパンチ力なんですね。
震度3と震度7では、なんと36倍(891÷25)の差があります。
震度6と震度7でも倍程度(891÷400)の差があります。

もっともパンチ力が2倍ってどんな感じ・・という疑問も沸きますが、
・震度7は、ボクシングでいう一発KOレベルのパンチ力。
(柔な相手は倒れます)
・震度5って、判定にもつれ込む決定打の無いパンチ力の応酬と言った所でしょうか、
(ダメージは受けますが、そう簡単には倒れません)
・そして震度1や2は、軽〜い、軽〜いジャブ程度のパンチ力なのでしょう。
(数打ちゃ当たると同じで、あまりに回数が多いとダメージがでます)

そりゃあまぁ、一発KOのパンチが立て続けに2回もくれば、大概の建物は壊れるでしょうね。

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2016年05月08日

いつでも、どこでも


下の図は、昨日の産経新聞の地方版に載っていた最近の地震の起こった場所を示した図です。
前回、境界プレート型地震は周期的に発生しており、周期がつかみやすい。
それに対して内陸型の地震は、周期が規則的でないので、いつ発生するかわからないと書きましたが、この図で言うと、まぁ、いつ、どこで地震が起こっても仕方ない。
内陸型地震の予知など不可能。
それに備えよ・・ということですね。

ところで、熊本地震の次は数年後に広島、愛媛方面らしいです・・。
そういう古文書があったそうです。

16-0508.gif


次回は、「建築条件付きの同時契約は違法(正しくは不適切契約)」というお話です。
大手ハウスメーカーですら平気でやっている同時契約に国交省中部地方整備局が監督処分を下しました。そんな良いニュースのご紹介です。


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2016年05月02日

熊本地震:2つの特徴


少しずつ熊本地震の全体像がわかってきましたが、この地震は大きく2つの特徴があるようです。

★余震の異常な回数
熊本地震の震度1以上の余震は、たった2週間で1000回を超えたそうです。
最初は、この余震の回数を聞いても、多いのか少ないのかすらわかりませんでしたが、この余震の多さは今までの地震では経験がなく、新潟中越地震でも1000回を超えるのに1年かかったそうです。
・余震で建物が壊れる
そうすると、建物にとっては、繰り返しの地震力が何回も何回も短時間に加わるために、後の余震で倒壊した建物が多いと聞いています。
最初、庁舎や体育館が使えなくなったというニュースを聞いて、「耐震補強が遅れていたのか」と思っていたのですが、そうではないことが初めてわかりました。
・余震があまりに多すぎて、怖くて戻れない
また、人の立場で考えると、家は倒壊をしていなくても、これだけ余震が多いと、家をいること自身が不安になり、結果として車中泊や避難所泊まりになる人たちが増えた要素の一つのようです。

★活断層型地震は予測できない・・1万年に1回の活動しかない
・そもそも予知できない
これは私も初めて知ったことですが、そもそも東日本大震災は境界型プレート地震です。今注意が呼びかけられている東海、東南海地震も境界プレート型です。
この境界プレート型地震は、100〜数百年の間に周期的に大きな地震を起こすために、比較的予知がしやすい。まぁ、予知と言うよりは、「前の地震から間が開いているから注意しろ」という程度の予知ですが、それでも「必ずある」と言うことは言えます。
しかし、活断層型地震は、5000年や1万円も活動しないことが多い(らしい・・)。
つまり、境界プレート型地震に比べれば、そそもそ予知など鼻から不可能と言うことになります。
だから、九州の人が「ここは地震が少ないです」と思っていたことはあながち間違った考えではない。
結局、日本に無数にある活断層は、自分たちが住んでいる時代に地震を起こすかもしれないし、起こさないかもしれない。起こしても地震の規模など全く予測できない。

・活断層が2つの県をまたがり長い距離で活動した
今回の地震は、熊本県と大分県の活断層が動きました。この長さは新潟地震や阪神大震災とは全く異なる活断層の連続した活動でしたね。

同じタイプの地震、災害が本当に無い。
いろいろ考えさせられる熊本地震です。

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