2010年12月24日

建築主の大いなる誤解

今年もあと少しなので、今までの話を少し続けます。
「惚れ惚れする基礎」の建築主の方がいわれた『自分の気持ちを押し殺さず、相手に伝えることの大切さを学んだような気がします。』という言葉。
実は、建築主の方が抱く大きな誤解があります。

■相手が気を悪くする
10-1224-1.jpgその前提として、相手はその道のプロだろう・・ということが大前提としてあるでしょうね。
お医者さんに、自分の病気の治療方法を自ら説明したら、お医者さんは気を悪くする、というのと同じように考えてしまっているのですが、前回の説明のように、相手は「未熟者」であり、「半端者」であり、片手間でしていたり、いわば「本当の意味でのプロ」で無い場合も多いです。
しかし、相手は「自分は素人よりも場数を踏んでいるんだ。プロなのだ」と変な自意識だけは強いですから、こういう相手は、謙遜する「素振り」が一番
『私たち、素人ですし、頭も悪いですから、その程度の説明では本当に飲み込めませんの。その上心配性なものですから、もっと詳しく説明を』なんて。とにかく自分を下げて、相手をおだてると、彼らはどこにでも登ってくれますョ。

■工事の手抜きをされないか
10-1224-2.jpgこの手の心配をされる方も多いですが、今の世の中、完全分業の社会です。
昔のように、大工の棟梁と話を進め、仕事が決まれば、その棟梁の元で仕事が進められるような状態ではありません。
いくら仲介の営業マンと丁々発止とやり合おうと、あるいは外注の設計者に気分を悪くさせることがあったとしても、工事の手抜きをされるなどということは現代社会では起こりえないことなのです。

「簿惚れする基礎」の建築主の方が抱えた問題と同じような問題を抱えた方がいましたが、先ほど建物が完成しました。そのときにいただいたメールです。

『営業マンは最後まで、トンチンカンな人物でした。追加決定事項に記載してある事でも、平気でその様な契約にはなっていません。と確認もせず言い切る。
メモもとるふりだけ、全然ひとの話を聞いていない横柄な態度・・・。社会人として全く常識のない人物でした。』

『デジカメコースを申し込んだときは、「ホンマに私にできるやろか」と不安一杯で現場に通いました。男の職場におばはんがのこのこ行って煙たがられやしないかと思いましたが。職人さんたちは愛想よく接してくれてありがたかったです。』

この事例は非常に多いですね。
できの悪い営業マンと、そんなこと関係無しで、自分の仕事をしっかりしようとする職人たちの取り合わせです。

実は私もこの関係を外から見ていると、このでたらめで社会常識のない営業マンほど、現場に溶け込めないで、職人さんと話すら出来ない、という傾向が非常に強いんですね。(要は、この手のタイプは、じぶんのテリトリーでは我が物顔に偉そうにしているが、テリトリー外だとにわかに萎縮する内弁慶が非常に多いです)

『契約の頃から不眠に悩まされ病院通いもしました。家を建てるのにこんなにストレス
とプレッシャーがあるとは思いもしませんでした。』

・・と、この方も途中から病院通いをしていたそうです。社会常識のないバカな営業マンに振り回されたせいですね。

■不動産仲介業は、個人の資質に左右される業界
10-1224-3.jpg不動産仲介業の企業数は2.8万社。そのうちの社員数4人以下の会社は2.5万社。全体の86%にも達します。会社の資質ではなく、個人の能力に作用されてしまう経営規模なのです。
(内閣府調査、平成16年−注:賃貸専門、業界内の土地斡旋専門といった専門に特化した会社もあるため、この数が全てではありませんが・・)

決して相手を『無条件で』プロと思うな!!
聞きたいこと、知りたいこと、わからないことは徹底して聞け!!
そして、納得してから前に進む、という強い気持ちを持つことが大事なことだと思いますね。

なにしろ相手は、あなたにとっては『異邦人』ですから・・・。


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2010年12月21日

壁の向こうの世界

昨日は、「半端者。未熟者」というドキッとするような言葉を使いましたが、これには訳があります。
下の図は、注文住宅を専門にしている住宅会社と、今回話題にしている「建築条件付き
」の販売でよく見られる売り主の会社の形態を図式化しています。

10-1221.gif


■注文住宅専門の住宅会社
会社に規模により大きく2つに分かれ、会社の規模が小さいときは、社長が営業か現場管理のどちらかを兼ね、不足する役割をもつものが社員として雇用され、設計だけが外注されます。次に会社が大きくなっていくと、設計者も雇用されて社内で進めるようになっていきます。

建築条件付きなどの売り主
大きくは3つの会社形態があります。

■零細クラス・・@:売り主の社員が2.3人の場合
もっとも規模が小さく、2.3人しか社員がいない場合は、設計も営業も、現場管理も外注です。社員はほとんど事務員です。この売り主の特徴は、すべてが外注スタッフだ、ということです。とにかく売れる土地を探すのが社長の死活的な問題です。大手が手を出さない小さな土地を見つけてきては「建築条件付きの土地」として売りさばきます。しかし、これでもれっきとして商売で、自社で販売するだけの能力はありませんから、仲介業者のもっとも大事なお得意様の一つです。
建築主との打ち合わせは仲介の営業マン、外注の設計事務所が行い、建てるのも施工専門の建築会社に丸投げです。

■小規模クラス・・A:売り主の社員が数人の場合
仕事も増えてくると工事をチェック出来るように、やっと社員に現場監督を採用します。でも社長は、まだまだ、営業と土地探しが一番の仕事です。
建築主との打合せは、仲介の営業マンと外注の設計者ですませ、工事の契約をした後に自社の現場監督に任せます。追加工事の見積もりなどはこの現場監督が行っているでしょう。
今回話題にした「惚れ惚れする基礎」の建築主の方が遭遇した相手の類似系です。
この売り主も仲介業者にとっては、おいしい相手です。
なぜなら、このクラスの会社も自前で販売する能力は持っていませんから。

■中・大手クラス・・B:売り主が社員が数十人の場合
このクラスになると自前で広告を打ち、販売しますし、数十件の大規模分譲も手がけていきます。営業も設計も現場監督も自社社員を抱えます。(別会社で、グループ化している場合もあります)
反対に、仲介業者にとっては、自社販売しますから、おいしい相手ではありません。

このように、建築条件付きの場合、零細・小規模の売り主は、自前では社員は抱えず、仲介の営業マン、外注の設計者の協力の上で仕事を進めています。しかし、協力と書けばかっこいいですが、意志の疎通も、確認の手間と時間も、社内の人間としているのとは雲泥の差ですね。

言葉のキャッチホールの中で、トラブルも多くなりますし、問題も多く発生しがちで、打ち合わせが円滑に行くかどうかも、何よりも個人の資質・能力に大きく左右されてしまいます。
「惚れ惚れする基礎」の建築主の方も、仲介のだらしない・無責任な営業マン相手に「基礎伏図を出せ」と求めたまでは良かったものの、相手はその場しのぎか?「出します」と、その場を取りつくろったものの、いつまで経っても提出されず返って不信感を募らせました。

また現場監督も入れ替わりが激しいですし、そのために忠誠心もそれほど無い。さらに社長は現場よりも次の土地の仕入れに忙しい・・となれば、現場もトラブルの宝庫です。
「惚れ惚れする基礎」の建築主の方も、防腐塗料を絶対に塗るな・・と伝えていたものを伝言ミスか、あるいは現場監督がうっかりしていて塗ってしまいました。

■トラブルの傾向
私の経験では、零細な注文住宅の住宅会社の方が決定的な欠陥住宅を造り出す傾向が強いですが、反対に「建築条件付き」の建物では、こういう零細・小規模な売り主のときに、担当した個人の資質に左右され、伝言ミスや担当する個人の無責任さなどから、不信感を募らせていくケースが非常に多いのです。

すべて同じように経験を積み、みんなプロなのだから・・なんて思うのは大きな間違い。言いたいことを良い、伝いたいことを伝え、ダメものはダメと言わない限り、その組み合わせによっては、無責任の連鎖が続く場合があるのです。

注:皆さんが好んで使う「ハウスメーカー」という言葉。
この言葉も実態を覆い隠すとっても都合の良い言葉です。
上で説明しているように、その会社の規模に応じて販売体制も、責任分担も、個人の資質の反映の仕方の変わっています。
「ハウスメーカー」と漠然とした響きのあるひとくくりの言葉でくるんだ時点で、自ら実態から目を遠ざけようとしていることに他なりませんし、そういう人が好んで使う言葉でもあります。



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2010年12月20日

登場人物の特性

先週お話しした「惚れ惚れする基礎」の建築主さんは、最後に、『自分の気持ちを押し殺さず、相手に伝えることの大切さを学んだような気がします。』と書かれていました。

さて一度、この場面、といっても建築条件付きの建物で必ず登場する4つの役者にスポットを当ててみましょう。背景を知るということですが、登場するのは、建築主以外では、次のようになります。

10-1220.gif
わかりやすいように、右の図の、
○であれば、必要な知識を持っている。
△は半端な知識しか持ち合わせていない。
×は聞きかじりの知識しか持っていない
というように括ると、実は下のようになるのです。

■売り主
契約に際して、実はもっとも肝心な人なのですが、仲介業者が入ると、ほとんど例外なく裏に引っ込んでいます。しかし、実際の権限は全てこの人が握っています。
どの仲介屋に仲介を任せるかも、この人の権限です。
注文住宅ではありませんから、売買の前提となる土地を探してこなければなりません。
その知識は秀逸です。他の3者では誰もまねできませんが、土地を探さなければ自らの商売はあがったりです。
その土地探しに、仲介業者も一役買います。
しかし、土地だけ売っても、全くうまみがないので、「建築条件付き」として建物もセットで売っています。
だから、不動産の知識と儲かる儲からないの建物コストの知識はありますが、施工上の知識や建物の細かな法律など知りません。
とにかく、売れそうな土地を探すことが飯のもとです。

■設計者
プランなどを考えてもらったり、仕様の打ち合わせをしたりします。要は建物についての専門家ですね。しかし、追加費用がどうなるとか、工事のことはさっぱりわかりません。間取りを提案して、建築確認を提出したら、この人の仕事は終わりです。
それ以上のお金ももらっていませんから、自分に不要な知識は身につけません。
下手にこうするとコストがこうなる・・・なんて口が裂けても言えません。
見積もりをする権限は持っていませんからね。
出来る限り早く図面をまとめる・・それが設計者にとって効率的なお仕事ということになります。

■現場監督
出来てきた図面に対して、工期内に引き渡すことが至上命題です。
もらった図面に書いていないことは、一切興味を示しません。
だって、いちいち今までの打ち合わせ経緯なんか、聞く必要ないですから。
そして、誰(売り主、設計者、仲介営業マン)もそんなことは必要ないので言いません。
与えられた図面が全て。
建築主と話をするのは現場に入ってからです。

■仲介屋の営業マン
最初から最後までお世話になりますが、不動産売買のことしか知りません。
だって、要は仲介屋ですから、アパートの賃貸物件の斡旋から、土地や中古物件の斡旋まで仕事は多義にわたっています。
時には、家賃を支払わない入居者に督促をするのも、追い出しをかけるのも仕事の範疇です。
つまり、建築条件付きの建物の斡旋は、仕事の中の一つであって、全てではありません。
ですから建物は本当に二の次の話ですし、知識はありません。

この状態を非常に茶化していえば、当事者には大変失礼ですが、次のようになります。

10-1220-2.gif



もちろんこれは、建築主の方も含めてですよ。
建築主の方だって、土地や建物の知識の豊富な方、そうでない方、中途半端に知っている人、間違って知っている人、実に様々なのですから、要はみんな半端な中で打ち合わせをしているのです。

だったら、いわなくてどうするのですか!!
相手はプロだから・・と勝手に遠慮したりしていても、どうにもなりません。

明日に続きます。
明日はこの4者の仕組みのお話です。

注:半端者、未熟者という言葉には反発を抱く方も多いかも知れませんね。
でもどんな世界でも本当のプロなど一握りの人しかいません。まして、不動産の売買や建物はそれぞれの専門家が協力しないと出来ません。
しかし、それなのに何でも知っているつもりでいたり、中途半端な聞きかじりの言葉を伝えたり、調べるのが邪魔くさいので、建築主の質問を門前払いしたりするヤカラが必ずいます。
あるいはごまかすヤツもいますね。
そして、そんなヤカラが建築主の不信感を増大させているのですが、残念ながら、彼らはそのことに気がつきません。


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2010年12月17日

神の計らい:黙っていてはしてくれない

『約束を約束とも思わない建売業者に不信感を持ち、デジカメコースを申し込み、家作りについてたくさん学びました。
管理を管理とも思わない施工会社に不信感を持ち、足繁く現場に通いました。』


『心労が重なり過喚起症候群で救急車で運ばれるなんてこともありました。
心筋梗塞と勘違いし、死まで覚悟しました。』


しかし、

『結果的には、
建売業者の計画より、性能のいい住み心地のいい家を手に入れることができました。
管理は自分でしなければなりませんでしたが、大手の住宅会社より安い金額で手に入れることができました。』

『サイアクの出来事のおかげで、サイコウな家ができたわけです。』

『神様の見えざるハカライ?なんてことまで考えてしまいそうです。』


そして、メールの最後には、次のような言葉が述べられていました。

『今回の家作りを通して、
自分の気持ちを押し殺さず、相手に伝えることの大切さを学んだような気がします。
日本人は、黙して語らずが美徳・・・のようなところがありますが、
それは違いますね。
やっぱり、話さなきゃ、人には伝わらない!
個人的には、このことが学べたのが、人生における大収穫でした。』


10-1217.gifもし、この方が、「いい加減な仲介屋だが、住宅業界ってこんなものか」とあきらめていたら、
もし、この方が工事の多少の問題に目をつぶり、あるいは見ないそぶりをしていたら、
多くの問題を隠しながら、建物は何事もなく完成していたでしょう。

でも、『言葉』の通じない相手に、『自分の言葉』を通じさせようとした結果、上棟したばかりの建物を解体し、基礎まで取り壊してやり変える決意を売り主の社長が固めたのだし、屋根通気や外壁通気工法の外壁モルタルなど、ほとんどしたことのない工法もキチンと下調べをして工事を進めたのでしょう。

その代わり、ストレスから過換気症候群で倒れたり、工事のチェックのために自分自身の時間を犠牲にしましたが、最後は、『神様の見えざるハカライ?』という言葉で言い表されたように、『苦労した甲斐があった』という結果に終わりました。

逆に言えば、この方の『言葉』に、売り主が答えてくれた、ということに他なりません。


・・・・次回に続きます。



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2010年12月16日

乗り越えろ!!

頼りなく、だらしなく、無責任な仲介業者。
「信用してください」というフレーズしか知らない仲介業者
顔を見せない売り主。
そんな売る側の決めた仕組みの中で、なんとか打ち合わせはしのいでも、本当にこれからの工事は大丈夫なのだろうか?そういう不安を抱いて「建築主デジカメコース」を申し込まれる方も多いです。

でも世の中案外うまくしたもので、ダメ亭主にしっかり者の女房がくっついていたなんていう昔のたとえではありませんが、いい加減な営業マンとしっかり者の施工業者という組み合わせは意外と多いんですね。
*営業と施工者との組み合わせの妙は「凸凹コンビの妙」に書いています。

そして、『言葉』の通じない仲介営業マンに四苦八苦しながら、どうにかこうにか着工までこぎ着けたこの方。
普通なら、上の説明のように「しっかり者の施工者」が出てくるのが世の中の仕組みなのですが、とんでもない工事に見舞われます。
それが、以前お話しした「惚れ惚れする基礎」の顛末です。
かいつまんで書くと
@書くと言っていた基礎伏図を書いてこない
Aやっと書いた基礎伏図も間違いばかり
B工事に入ればホールダウン用ボルトを入れ忘れる
Cアンカーボルトの出が浅く、土台を大きくくりぬく不謹慎な作業
D極めつけは、するなと言っていた建物への防腐剤の塗布
とトラブル続出となって、売り主の社長と話し合いの末、上棟したばかりの建物を解体し、基礎からやり換えとなったのですが、

「心労が重なり過喚起症候群で救急車で運ばれるなんてこともありました。
心筋梗塞と勘違いし、死まで覚悟しました。」

とメールに書かれていました。
自分では気づかないものの、相当のストレスがこの時期までにのしかかっていたのでしょう。

このような大きなストレスを抱えた建築主の方を時々見かけます。
欠陥住宅の被害者も同様のストレスを抱えます。

そう思うと「仲介業者」を含む住宅業界というのは、実に無責任で、身勝手で、でたらめな業界だとつくづく思います。
でも、それを乗り越えないと住まいが手に入らない。

・なぜ自分が売っている住宅の説明が出来ないの?
・なぜ、質問に答えられないの?曖昧な説明なの?
・なぜ。最低限の図面すら作らないの?
・誰のための住宅?儲けられればいいの?
・どうして時間を守れないの?
・何か言えば「信用してください」。今までの何に信用しろと言うの?

すでに住まいを建てられた方の中には、ざっと書いたこれらのことに憤りを感じた方も多いのではないでしょうか。

メールは続きます。
「このメールを書くにあたり、十数センチに及ぶ、今回の家作りの書類やメールの束を読み返してみました。
よくまあ、いろいろあったし、よくがんばれたものだと思います。」


住宅ってこんなものだ・・と、見て見ぬ振りをしてしまうのも一つの選択。
最初からそういう場面に近寄らないのも一つの選択。
きっと安心だと思う大手に任せちゃう!!
いろんな選択肢があり、どんな選択をしようと全てあなたの人生。
がんばろうと、逃げようと、目をつぶろうと、決して、だれも何も言いません。
知っているのは自分だけですもん。

でもね!
もしも、
そして不幸にも、
こんな大きな大きな壁でなくても、何かが自分の前に立ちはだかったとき、あなたはどうされますか。

実は、この方の最後の言葉を紹介したくて、延々とこの話を続けていたのです。
明日に続きます。

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2010年12月14日

乗り越える・・いい加減な仲介業者と出てこない売り主

この方は、建物の性能を大きく上げられましたが、そこに至るまでには、大きな試練が待ち受けていました。

約束を約束とも思わない建売業者に不信感を持ち、デジカメコースを申し込み、家作りについてたくさん学びました。
管理を管理とも思わない施工会社に不信感を持ち、足繁く現場に通いました。

結果的には、
建売業者の計画より、性能のいい住み心地のいい家を手に入れることができました。
管理は自分でしなければなりませんでしたが、大手の住宅会社より安い金額で手に入れることができました。

サイアクの出来事のおかげで、サイコウな家ができたわけです。


とメールに書いてこられましたが、すでにこのブログをご覧になられている方は、工事の初期に『ほれぼれする基礎』でご紹介したような大きな問題が発生していました。

惚れ惚れする基礎』は、右のリンクページの中程です。

しかし、そもそも、工事にかかるる前から大きなストレスがこの方を襲っていました。
その問題の発端は、「約束を約束とも思わない建売業者に不信感を持ち」というところからスタートしています。

正確に言うなら、中途半端な知識しかない仲介業者と、その仲介業者の影に隠れて顔を見せない建売業者(売り主)の問題なのです。

10-1214.jpgいい加減な返事、曖昧な返事、二転三転する返事、無責任な態度、自らの無知を棚に上げて、土地から購入しなければならない、いわゆる「建築条件付き」の建物では、このようないい加減な仲介業者に振り回されることがよく起こります。(表に出てこない売り主という問題も非常に多いです・・)

以前にも書きましたが、これら仲介業者は、建物を建てよう、一緒に考えていこう等とは鼻から思っていません。表に出てこない売り主だって、工事上のクレームは起こらないように万全を期しますが、プランなど、まぁどっちでもいい話です。勝手に決めてくれればいいのです。「うちは建てるだけぇ〜」とでも言うのでしょうか。

土地が売れればよい。そこまでが自分たちの仕事であり、建物のことなんか、おまけとしか考えていませんから、建物の仕様や施工方法など、通り一遍の知識しかありません。
そこに無責任が加わると、この方のように「約束を約束とも思わない」という形で表れます。

しかし、そういうときでもほとんどの人は、その建物が欲しいのでは決してありませんね。
その場所に住みたい。予算も、建てられる住宅の広さもちょうど手頃だ。
つまり、その場所であることが契約を決めた第一理由ですから、そう簡単にあきらめるわけにもいきません。
しかも自分たちがローンを支払い続けるわけですから、建物にも多少なりともこだわりを持ちたいし、自分で考えられると思うからこそ、出来あいの分譲住宅を選ばなかったわけですね。

しかし、無責任な仲介の営業マンにすれば、人の建物なんかどうでも良い。まして、すでに契約も済ましていればなおさらです。

そんなそれぞれの向いている視線の大きな違いが、建築主の方に大きなストレスとなっていきます。

大手の建売業者の場合は、比較的仕様も販売手法も統一されていますから、あまり右往左往しませんが、中小、零細の売り主と中小、零細の仲介業者がタッチした物件ほど、このようなトラブルが多くなります
そして、ほとんどの人は、「住宅業界ってこういうものなのか」と半端あきらめに似た印象を持つ方もいたのではないでしょうか。
あるいは、上に書いたような、似た経験を、大なり小なりされた方も多いのではないでしょうか。

・・・・・続きます。

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2010年12月13日

屋根通気とモルタル外壁の通気工法

さて、週も開けて何かと気ぜわしくなっていく年末ですが、今週もしばらく『惚れ惚れする基礎』の方の話を進めたいと思います。
少しお詫びと訂正です。
前回の説明を、少し間違えていました。

外壁モルタルを通気工法のサイディングに変えられたのではなく、外壁モルタルそのままで、外壁通気工法による外壁モルタルとされました。
訂正します。

さて、間違えついでなので、その方の取られた写真を参考に『屋根通気』と、『通気工法による外壁モルタル』の実例をご紹介しておこうと思います。写真は、『惚れ惚れする基礎』の方のご提供です。

10-1213.jpg■屋根通気
@この状態は、最初の屋根下地に通気用胴縁(どうぶち)を取り付け、その上に屋根下地合板を張った状態です。棟換気の金物をかぶせて空気を排出するために、合板は棟の手前で止められています。そして、棟のあたりで細い棒のように見えるのが通気胴縁です。
Aその合板の上に緑色の防水シートを貼り付けています。この上に屋根材を張れば屋根は完成です。
B棟換気の完成写真です。
CAの写真の拡大ですね。この緑色の防水シートを棟のところで切って、空気が流れるようにします。通気胴縁の下も緑色ですが、これも防水シートです。
本来は不要なのですが、『屋根の通気工法』自体がほとんど初めての経験だったのでしょう。住宅会社の方が必要だと思って入れられたのだと思います。

■通気工法による外壁モルタル
A.防水シートと通気胴縁です。サイディングであれば、この上にサイディングを貼って終わりです。
B.この上にモルタル下地の通称バラ板を打っています。合板を張る場合もあります。
C.さらに防水のためのアスファルトフェルトと、モルタルを塗るためのラス(金網)です。
普通の外壁モルタルであれば、Cの工程だけですから、外壁通気工法による外壁モルタルが如何に手間がかかるかわかると思います。
普通の外壁モルタルであれば、Aの防水シートと通気胴縁、Bのモルタル下地のためのバラ板が完全に不要な工事です。手間がかかるイコールコストですから、外壁モルタルの通気工法も非常に珍しい工法です。

つまり、手間とコストがかかるから、外壁モルタルでの通気工法はほとんど採用されていないですね。

さてこの方、次のような事をしました。
■耐震性・・耐震等級3のレベルまで耐震性を引き上げ、最高レベルに変えました。
■耐久性・・屋根通気をおこない、外壁通気工法による外壁モルタルとし、劣化の低減の最高レベルとしました。
■断熱性・・実質的に次世代省エネルギー仕様にまで高めています。


これだけを見ると、『いいなぁ。一杯変えちゃって』と思われるかも知りませんね。
でも、格好いい話を書きたくて、延々とこの話を続けてきているのではありません。
この結果に至るまでに次のように場面に見舞われます。

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明日に続きます。


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2010年12月10日

『惚れ惚れする基礎』−棟換気に手をかざす

話があっちこっちに飛んでしまいましたが、『惚れ惚れする基礎』の方のお話の続きです。

この方、たぶん、日本でもほとんど例のないことを体験されています。
実は私も、この経験は無いですし、こんな事を経験した建築主の方は、本当に少ないでしょうね。


・・(以下引用)・・・・・・・・・・
耐久性を上げるために採用した
外壁通気と二重屋根。
完成直前、屋根に登って、棟換気に手をかざすと…
熱い空気が出てきました。当たり前なのでしょうが、ちょっと感動。
湿気も抜けるし、熱気も抜けて、断熱と耐久性に一役買っているかんじが実感できました。
・・(引用終わり)・・・・・・・・・


10-1210.jpg実はこの建物、元々の仕様は「外壁モルタル」だったのです。
外壁通気ではありませんので、性能表示での評価は劣化の低減では等級2です。
しかも、勾配屋根です。小屋裏換気はありません。
そこで、「建物の耐久性や断熱性を少しでも上げるにはどうすればよいですか」という問いかけから、
@サイディングに変更し、外壁通気を取り入れる
A勾配天井なので屋根断熱となってしまうから、屋根の上に二重に「屋根通気層」を作ったら、

ということで標準仕様を変更して行われたのです。

そもそも「屋根通気層」を作ること自体が、普通では珍しい事なのですが、うまく機能しているようです。

しかし、足場が外れる前だと思いますが、棟換気まで行かれるとは・・・
なかなかの根性です。
(普通は尻込みして、屋根材の上を歩く人はいないでしょうね)
(このあたりは、現場監督や職人さんとのコミュニケーションを取っていれば、どう歩けばいいのかは簡単に教えてくれますから、気になる人は挑戦してみましょう。・・カラーベストの屋根であれば特に簡単ですよ!!)

この話、さらに次回に続きます。


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2010年12月07日

断熱性能の違い

昨日の続きですが、この方の住まいはどんな断熱性能なのでしょうか。

そもそも、いわゆる「建築条件付き」の建物なので最初から仕様が決まっています。
下の図の上が標準の仕様ですが、売り手側が標準で設定していた断熱材は、天井:グラスウール100mm、外壁:グラスウール75mm、床:スタイロフォーム30mmと、もっとも標準的な「省エネルギー仕様」のレベルでした。

しかし、せっかくマイホームを取得するのだからと、「次世代省エネルギー仕様」での仕様変更を求め、下の図のように、屋根:高性能グラスウール16K、200mm、外壁:高性能グラスウール16K、100mm等々と変更しました。サッシやガラスは変えず、断熱材の変更だけです。

昨日のこの方の説明でもわかるように、たまたま偶然ですが、売り手側の平均的な仕様である「省エネルギー仕様」のままで立てられた建物と、この方だけが変更された「次世代省エネルギー仕様」の建物が同時期に、同じ業者で施工されるという珍しい事が起こったのです。

その建物の断熱性能を実感として比較されたのが、昨日の話ですね。

10-1207.gif


■トレードオフを使った建物では、こうはならない
でも、ただ単に次世代省エネルギー仕様だから、これほどの差が出たのではありません。
ほとんどの場合、今回の建物のように勾配屋根がある場合は、天井の空間がとれないために断熱材を薄くします。そして、窓ガラスをLow-Eガラスなどに変えることで次世代省エネルギーをクリアさせている建物がほとんどです。
いわゆるトレードオフ制度ですが、この場合は、断熱材の厚みはこの方の半分の100mmにまで薄くすることが出来ます。その代替えをLow-Eガラスでカバーするのですが、計算では次世代省エネルギーをクリアしていても、実際の太陽熱は上から当たっていますから、断熱材を半分の厚みにまで下げれば、屋根から伝わってくる熱量は、半分に減らす前の倍の熱量が入ってきます。
つまり、この方が涼しく感じられたのは、なによりも、トレードオフ制度を使わず、200mmの断熱をそのまま使った。言い換えれば、断熱材が入るように、少し天井も下げて断熱材を入れることを優先した結果にほかなりません。

もし、トレードオフを使った次世代省エネの建物であれば、お隣の「お隣の小屋裏は灼熱でした・・」とまでは行かなくても、ほぼ似たような状態になっていると考えられます。

■夏、涼しく過ごしたい方のポイント
夏、涼しく過ごしたいなら
@次世代省エネルギー仕様であること
Aトレードオフは使わないこと
の2点が大事なポイントですよ。
注:夏を強調していますが、冬も、上に熱が逃げませんから、快適ですよ。

■参考ページ
「次世代なのに!!【トレードオフに要注意】」
施工業者にとっては都合の良い制度ですが、使い手にとっては決して良い制度ではないトレードオフ制度のデメリットを説明しています。
「自分で出来る断熱リフォーム」
このページでも、断熱材の厚みが、倍と半分の時の違いを説明しています。


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2010年12月06日

『惚れ惚れする基礎』−感激の断熱性能

以前このブログでも、基礎やり換えのトラブルでご紹介した『ほれぼれする基礎』の建築主からメールをいただきました。このブログへの引用をご快諾いただいたので、少しご紹介いたします。

季節は夏ですよ!!
その時のご報告を少し時間が経てからいただいたのですが、

・・・(以下、その方からのメールです)・・・・・・・・・・・・・・・・・・
さて、新居の住み心地ですが、
すこぶる大変満足しております。

まず、なんといっても、断熱性能に驚いています。
引っ越してしばらく、1階にエアコンがなく、2階のエアコン一台だけで、生活していました。
2階のエアコンの冷気だけで、1階も涼しくなるんです。
今年の記録的な猛暑の中、小屋裏も涼しい!
次世代省エネ仕様、恐るべし。
エアコンを切っても、しばらくヒンヤリ。個室ではなく家全体が冷える心地よさを知ってしまいました。

建売の3棟現場なので、お隣さんにお邪魔しました。
外観は同じですが、断熱性能は別。
お隣の小屋裏は灼熱でした。
「一戸建ては、2階が暑いですねぇ」とお隣さんに言われたのですが、断熱材がお宅とは違うとも言えず、
「え、ええ」なんて、あいそ笑いをしてしまいました(汗)
・・・(引用終わり)・・・・・・・・・・・・・・・・・・


10-1206.jpg


もともとこの方、文才が豊かなのでしょう、文章での表現力が非常にすばらしい方なので、全くそのまま引用させていただきましたが、次世代省エネルギー仕様で建てた建物と、そうではない、その1ランク下の省エネルギー仕様で建てた建物との比較が、実によくわかりますし、たまたま、全く同じ業者で、ほぼ同時期に完成したので、その比較がはっきりと出来たのでしょうね。
こういう風に比較できるのは、滅多に無いケースなので特に引用させていただきました。

明日から、少し、この方のこれらの話や、それ以外の孤軍奮闘された話題をご紹介する予定です。
でも最後の結果は、『サイアクの出来事のおかげで、サイコウな家ができたわけです。』とご報告をいただきました。
何があったのでしょうか・・・続きます。

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