私は、「これは、耐震等級3の必要壁量を計算出来ずに、手当たり次第に多く入れたのでしょう。多く入っている分には問題はありませんが」と返事をしたのですが、それぐらい多くの耐力壁が入っていました。今まで耐震性を高くして欲しいという依頼を受けると、訳も分からず、いたずらに耐力壁を多く配置する設計者も多いのですが、今回の話はその上手を行く話です。
そのあと、その方から、「余裕度が1.1しかないのですが大丈夫でしょうか」という言葉と共に、構造計算書が送られてきました。
それを見てびっくり。
なんと建物の自重が通常の1.5倍ぐらいの重さで入っていたのです。
■必要な耐力壁の量は・・
その建物が受ける地震力は、建物の重さに単純に比例します。1階の場合)。軽い建物ほど弱い地震力=少ない耐力壁でよく、建物が重くなるほど、受ける地震力も大きくなり、必要な耐力壁も多くなります。
結局、その建物は、自重計算をあまりに過大に計算していたために、地震力が大きく計算され、その結果必要な耐力壁の量も多く計算され、それにつれて、至るところに耐力壁を配置せざるを得ない結果になったようなのです。
自動車に例えると、リッターカーの車両重量は平均1.3トン程度。クラウンクラスで1.7トン程度です。そのために、エンジンは1,000ccとか、2,000ccと積み分けているのですが、今回の話は、車両重量を3トンと計算してしまったために、必要なエンジンが4,000ccだ・・という風に計算されたのと同じ事なのです。
■費用をケチっても
ある構造設計者のブログを見ていると、「構造設計者に外注する費用が惜しくて、自分でするのは良いが、間違ったままでやっている人も多い」というのを読んだことがありますが、まさにその状態です。
どんな分野でも計算ソフトがあれば勝手に出来るのではありませんね。その分野の基礎的な知識なり、経験なりが必要不可欠ですが、ソフトがあればなんでも出来ると思いこんでしまう素人療法がなせる技という気がします。
ちなみにその建築主の建物は、耐震等級3に必要な耐力壁の量のほぼ2倍の耐力壁が配置されていたのです。

■経験の大切さ
今回の設計者も始めての「耐震等級3だ」と気合いを入れて、構造計算ソフトを買ったのでしょう。そして、今までに耐震等級3の依頼を受け、その都度構造設計事務所に外注し、経験を積んでいれば、仮に自分でソフトを動かしてみても、出てきた答えがあまりに過大な耐力壁の量であればおかしいと、すぐに気がつくのですが、そういう経験無しに一足飛びにソフトだけを買ったのでしょう。
ところが、いくら計算ソフトが簡単で使いやすくなったところで、計算結果の間違い探しは、経験でしか補えないのですね。(計算式は合っているのだから、例外なく入力と仮定の間違いという人為ミス)
■一歩間違えば、そして、間違いに気づいていなければ
今回は過大側なので実害はないのですが、こういう計算ソフトを、その分野の基本的な知識も無しに間違って使うと、取り返しのつかない失敗をしそうです。
そしてなにより、自分が間違っていることを知らずにいる事の方がもっと怖いのです。そういう設計者がときたまいるようですょ。
以上、チョット怖い業界のお話しでした。
↓よかったプチッと一押しお願いします↓
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
このブログの提供は、建築主のためのWEBサイト「住まいの水先案内人」です。
「住まいの水先案内人」では、膨大な量の無料コンテンツとともに、失敗しない、後悔しない家造りのための多様なサービスをご用意しています。(現在1、500件以上のサポート実績)
>
そして、意外と誤解が多いのが、「