その間違いは、「工務店なんだから、なんでも出来る」という勘違いです。もっとも軸組工法を専門にやっている工務店が2X4工法も出来るとは思われていないようなのですが、工務店であれば、木造であれ、鉄骨造であれ、あるいは鉄筋コンクリートであれ、なんでもできるよね。という錯覚です。
これは、昨日の「建築士」「設計者」によく似た誤解です。
『工務店』と言う言葉から、どうしても『物を作る』とイメージしがちですが、実は、『工務店』は、『工事コーディネーター』なのです。
その理由は、仕事場はありますが、せいぜい並んでいるのは足場板や余った木材程度で、そこで物が造り出されるわけではありません。
基礎は基礎屋に外注し、大工は建物毎に契約し、木材はプレカット工場に頼み、左官、電気、水道、クロス・・すべて外注です。
つまり、工事をする下請け業者(専門業者)のコーディネーターを『なりわい』としているのが『工務店』なのです。
では『コーディネーター』は何が必要でしょうか。それは建築士や設計者と同じ「経験」ですね。どんな職種であれ、コーディネーターと名が付けば経験無くして何も出来ません。
地下室を作ったら湿気だらけで使えない・・と言う話を昨日しましたが、それは工務店であっても同じです。地下室を作った経験無しに文献だけで考えて、業者を揃えれば工事は出来ますが、肝心な「ノウハウ」がないのですから、湿気のことまで気が回らず、あるいは廻っていても、いわゆる押さえるツボが少し違っていて、結露だらけ・・となってしまいます。同様の事例が、木造ばかりやっている工務店は鉄骨造のノウハウは少ない。同様に鉄筋コンクリート造のノウハウは少ない。といった傾向があります。
そのノウハウとは、左官と大工といった違う種類の仕事が接する部分の仕事の納め方で、オーケストラの指揮者によく似ています。いくらパーツパーツの職人が良くても、それをうまく調整(コーディネイト)して、バランスの取れた物にするのがコーディネーターの仕事ですね。それを習得するには場数しかありません。
工務店を知るには、『御社はどんな建物を何棟程度建てていますか』というのが、一番早いでしょうね。
工務店はオーケストラの指揮者と同じです。
どうやってパーツたる職種毎の下請けを一つにまとめるか。
パーツにそれぞれキチンと役目を指示しているか。
パーツとパーツの間に隙間はないか。
そして、
ノウハウ。それは経験でしか学べません。
ノウハウ。それは失敗の上に成り立っています。
そう。あなたの住まいも、ノウハウ無き工務店が建てれば、失敗のリスクにさらされているのですよ。
なお、「パーツにそれぞれキチンと役目を指示しているか。」というコーディネーターとしての仕事を放棄したのが、『下請け丸投げ』という言葉ですね。
また、ノウハウと失敗の関係をたとえれば、室内管弦楽程度の規模の楽団しか指揮しかしたことがない指揮者が、一気にオーケストラの指揮なんか出来ない・・のと同じですね。
工務店・・なんでも出来ると勘違いしないようにね〜。
このブログは、建築主のためのWEBサイト「住まいの水先案内人」がお送りしています。
↓よかったプチッと一押しお願いします↓
このことは何も「建築士」「設計者」の仕事を否定しているのではなく、何事も「経験」で得られたものでない限り、言い換えれば自分の専門領域以外は、案外知らない部分が多いと言うことなのです。
そのため、建築確認で審査しているのは、他人に影響を与えるような建ぺい率や容積率のオーバー、道路斜線や高さ制限、あるいは防火関係のことが中心となっています。