2011年11月08日

大きな開口部の味方:門型フレーム


少し前、ボーイング787が就航し、その中に機体を日本のカーボン繊維で作ったために強度があるのに軽くて燃費がよい・・というニュースが流れましたね。今回の話はそれと同じ話です。

木材と木材をどうがんばってボルトで固定しても、硬く固定することは出来ません。
それは、力が加わることで、木材のボルトの穴がゆるんだりするからです。
いわゆる「緩み」が生じることがボルト接合の最大の問題でした。
鉄は強いのに、木の方が加わった力に負けてしまうのです。
そのために、単に柱と梁だけで耐震性を確保するためには、以前説明したように柱の寸法が最低でも140mm角以上、出来れば240mm程度の太い柱でないと耐震性を寄与することは出来ないと書きました。
つまりは、木の太さに頼っていたのです。

その弱点をカーボン繊維と全く同類の「アラミド繊維」という極めて強い繊維を接着剤で木材に貼り付けることで、変形しない接合が可能になったのです。

それを利用したのが、『門型フレーム』と呼ばれる工法で、店舗の大きな窓を作りたい。車庫のための大きな開口が欲しい。だけど壁がない・・といった時に『門型フレーム』という特殊な耐力壁を使うことで、おおむねたすき掛け筋交いの9割程度の強さががある耐力壁にすることが出来ます。

方法としては柱と梁をボルトで接合し、さらに柱と梁の周囲をアラミド繊維を貼り付けることで、いわゆる「緩み」を防ぎます。そして、変形しないことが一定の限度までの強さに耐えられる状態になり、耐力壁として使うことが出来るようになったのです。

つまり、門なのに耐力壁。門の形をした耐力壁が『門型フレーム』なのです。

このカーボン繊維やアラミド繊維といったものは、古い高速道路の橋脚などの耐震補強にも使われている軽くて、形状を選ばず、接着剤で貼り付けられる、まさにボーイング787と全く同じ先端材料で、それを建築業界では、耐震補強や門型フレームと言ったいわば耐震性を高める材料として使用しているんですね。(注:アラミド繊維とカーボン繊維を比較すれば、カーボン繊維の方が強い)

■補足
柱の奥行きは105mmで構いませんが、柱を開口部の正面から見た寸法は240mm必要です。
梁の寸法も同じです。105mm角の正方形の柱では出来ません。
なお、開口部の幅は1.8m程度の短いものから、5m程度の大きなものまで可能ですが、耐力壁としての強さは、開口部の幅に関係なく、ほとんど同じです。


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2011年11月07日

耐震性に優れた柱埋込金物工法


前回は、通し柱とはいうものの、実は大きく柱が削り取られる。その弱点をカバーするために柱寸法を1ランクわざわざ大きくしている。しかし、彫り込んでいるために、どうしてもその部分が弱くなる・・という通し柱の弱点を説明しました。

そのような弱点を根本的に変えたのが、「柱埋込金物工法」という工法です。
注:格別定まった名称があるわけではなく、単に「金物工法」と言っている場合もあります。
この工法は、柱も梁もほとんど彫り込まず、専用金物とドリフトピンという短いボルトだけで柱と梁、あるいは柱と土台などを固定しようとする工法で、クレテック工法、ナックル工法、SSマルチ工法等々、金物メーカーが各社各様の名前をつけていますが、全て理屈は同じです。

この工法の最大の特徴は柱と梁などの接合部の強度を強くすることが出来ます。
さらにホールダウン金物など、軸組工法では必要に応じて耐震金物が随所に必要になってきますが、これらの工法では埋込金物自体が耐震金物を兼ねていますから、二重に金物を設ける必要がありません。
つまり、耐震性の面で言えば、計数的にいくら良くなるとは数値化できませんが、在来型の方法よりもより安定した耐震性が確保できると考えられます。

その反面、

1.ややコスト高であること、
2.どのプレカット工場でも扱っているというわけではないこと、
3.無垢材ではなく集成材に限定されている金物もあること、
4.基礎に金物を直接固定する工法の場合は、アンカーボルトのセットに高い精度が要求される

といったことから、耐震上有利な工法ですが、これらが足かせとなり、まだまだ普及はしていません。

大手ハウスメーカーでは、このような金物工法と在来型工法とが半々ぐらいで行われているのではないでしょうか。そして、中小規模の住宅会社になるとほぼ1割程度しか普及していないようです。それでも大きな規模のビルダーでは、この工法は積極的に取り入れられつつあります。

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写真は、タナカの「SSマルチ工法」の例です。

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2011年11月04日

通し柱はなぜ太くする(軸組工法)


軸組工法では、多くの場合、通し柱だけは120mm角など、他の柱よりも太くする場合が多いです。
その理由は、柱と他の部材−土台や梁−との結合方法にあります。

■通し柱が太い理由
図のように、通し柱と梁を結合させようとすると、柱をメス状に大きく掘り込み、反対に梁をオス状に加工して、梁を柱に差し込んで結合させます。そのため、柱は大きく断面が減らされてしまいます。
かといって、この結合部分が、梁を埋めこんだからと言って、柱と同じ強度を持っているわけではありません。重さに耐えるだけなら、同じ強度と言えますが、地震などの揺れに対してはこの結合部分は非常に弱く、たとえば、柱の細くなったところから、柱そのものがポリッと折れたりする可能性もあります。

そのため、他の柱で使う105mm角の柱ではなく、少しでも細い部分が大きく残るように120mm角と言った他の柱よりも1ランク太い柱が使われています。
また、もう一つの理由は、建物の隅角部というのは、湿気なども滞留しやすく、木材腐朽への抵抗力を増す意味でも、1ランク太い柱を使うことが良いとされています。

■他の柱
他の柱は、図のように1階であれば土台と梁の間にあるのですが、単に土台あるいは梁に細い穴を開けて柱を差し込んでいるに過ぎませんから、柱の断面欠損は起こりません。

つまり、通し柱は、その構造上やむを得ず、太い柱を使っているのです

■耐震性への寄与
では、通し柱は耐震性に寄与するのでしょうか。
あくまでも個人的な見解ですが、ほとんど寄与しないと考えています。それは、上のような結合部分で大きな断面欠損=強度上の弱点が生じてしまうからです。
かといって、法律では「通し柱を設けなさい」と書かれています。しかし、この法律も曖昧で、その適切な位置や、適切な数量は何も示されておらず、ただ「設けなさい」と設計者、施工者に「依存」している法律なんですね。

通し柱があるから安心だ・・とか
通し柱が多いから安心だ・・と言うほど単純にメリットばかりではないのが、通し柱の悩ましいところですょ。

むしろ、地震時の上下階の分離を防ぐ役割の方が案外多いのかもしれません。


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2011年11月01日

耐震余力:雑壁効果


今まで建物が地震に対抗できるのは、『耐力壁』があるからだ・・と、説明してきました。
他のサイトでも、全く同じことが書かれていると思います。
それはそれで正解なのですが、本当の建物の耐震性は別の要素も含まれているんですね。
今日は、計算には含まれない、おまけの耐震余力というお話です。

■耐力壁と雑壁
住宅業界では、筋交いなどに代表される地震に抵抗できる壁を耐力壁と呼んでいます。
そして、それ以外の筋交いなどが入っていない壁を『雑壁』と呼んで区別しています。
また、耐震性を計算するときは、『耐力壁』しか計算に含めないのですが、実は『雑壁』と言われる耐震性の計算に入れていない壁も、一定の強さ(耐震上の強度)をもっているのです。

下の図は、筋交いの強さを2.0としたときの、サイディングやモルタルの強さと、室内に使われる石膏ボードの強さです。
外壁の仕上げ材で圧倒的シェアをとっているのがサイディングとモルタルですが、どちらも約0.8程度の強さを持っていますし、軸組工法の石膏ボードはまず耐力壁として使用しませんが、それでも何気なく張っても、約0.6程度の強さを兼ね備えています。

つまり、雑壁であっても、あるいは単なる内外装材であっても、計算には入れていないが、それでも多少は地震に寄与出来る強さを持っているのです。
そして、一般的には、この内外装による耐震余力は、耐力壁としてその住宅に作られる強さ(耐震性)の2割程度を底上げする余力が、平均的に備わっているそうです

■壁は多い方が余力有り
ところが、外壁仕上げなどは、どんな家でも共通に持っている余力ですからが、余力と言われても、それぞれの家で大きな余力の違いがあるわけではありません。

でも耐力壁でない壁−雑壁−と言われている壁が多いほど、それが少ない家よりも耐震余力は高くなるのです。
一番の下の図は軸組工法の8畳の部屋のそれそべの壁の耐力壁を配置しました。(赤い色の壁です)
ところが、耐力壁以外の壁は雑壁(緑色の壁)ですが、この壁も一定の強さを備えているので、こういった雑壁が多いほど、その家の耐震余力は高くなるのです。

■壁は多い方が良い
・・・それは、耐力壁として使う、使わないにかかわらず、一定の強度があるために、余力分として−計算外余力として−耐震性に影ながら大きく寄与しているのですね。


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■おさらい
耐力壁以外の内外装材にも、耐震性の計算にこそ入れないが、一定の強さを兼ね備えている。
でも内外装のもつ強さは、どの住宅でも共通して持っています。
ところが、
耐力壁でない雑壁も、一定の強さを備えているため、「計算外の余力」として耐震性に寄与している。
だから、本当は、壁は多い方が地震には安心だよ・・・。
というお話です。

注:この余力は、建物が傾くかどうかと言った耐震性の根源に関わる強度なのではなく−それは基本的な耐震性の計算でチェックされますね−たとえば、同じ地震を受けても、クラックが入りにくいといった地震を受けた後の補修の程度を左右するような強さ(余力)だと考えるとわかりやすいかもしれません。

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2011年10月31日

耐震雑学:土台や柱は太い方がよいのか


11-1031.jpg耐震性に関係して、『土台や柱は太い方がよいのではないか』という疑問を抱く人も多いのではないでしょうか。
たしかに、一部の工務店などでは、柱の全てを4寸角で作り、「耐震性も高くなる・・」といった触れ込みで太い柱を「売り」にしている会社があります。

では答えはどうかというと、『柱が太くなれば耐震性に寄与するのはその通り、しかし、現在の住宅ではほとんど関係がない』というのが結論です。
それは次のようなことが理由になっています。

■105〜120mm角の柱では耐震性向上の効果は極めて少ない
土台や柱は建物の重さを支えるために、太ければ太いほど良いとは言えますが、耐震性に関してはあまり関係ありません。
といっても、これは3寸5分(105mm)や4寸(120mm)と言った現代の住宅で例外なく使われている柱を使った場合の話で、この程度の寸法の柱では、ほとんど耐震性に寄与しないとされています。

■140mmで多少の効果。240mmで効果大
しかし、この柱の寸法を140mm以上の太い柱にすると、少しづつ耐震性にも寄与して、柱の寸法が240mm(8寸)程度にまで太くなると、その柱だけでも耐力壁として十分な強さを持っています。
柱と梁が太いことと、それらが強く噛み合わさっていることで、「ラーメン構造」的な感じで耐震性に寄与できるようになるのです。
注:ラーメン構造というのは、柱と梁がしっかりと結合されて、その結合部が決して変形しない状態の構造。軸組工法は柱と梁が組み合わさっていますが、地震時には変形するので、形はよく似ていますがラーメン構造ではありません。ラーメン構造の代表例は、鉄筋コンクリート造です。

■筋交いと比較すると
そして、その強さの程度を筋交いと比較すると、下の図のようになります。
片筋交い(45X90)の倍率(強さ)は、2という単位ですが、柱の寸法が140mmになると、約0.5の強さとなり、柱の寸法が240mmになると、約1.2の強さになります。通常、今の住宅で使われている105mm角や120mm角の柱の強さは、この表の推定では、せいぜい0.2程度ではないでしょうか。
そうすると、柱が10本集まって、やっと筋交い1本分程度にしかならないのですから、耐震余力としては考えられても、本格的な耐力壁としてカウントしていくには無理があります。

つまりは、柱が140mm程度を越えれば、少し耐震性に寄与よる。柱の太さが240mmになれば大変寄与すると考えられますね。240mmの柱2本で、片筋交い1本よりも強くなります。
でも、現代の住宅で主流である105mmやそれよりも少し太い120mmの柱では、多少の強さがないとは言えないものの、数値の上ではあまりに小さすぎて耐震性にはほとんど影響を与えないと言えるのです。

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確かに柱を140mmや240mmにするなんて、そもそもそれだけ太い部材を集めるのも大変ですし、費用も莫大になってしまいます。

■神社仏閣が地震に強い理由
よくよく世の中を見回してみると、大きな地震があっても、その地域の神社仏閣が倒壊などの大きな被害を受ける−お寺や神社が倒壊してしまいました−なんてことはあまりありません。昔の建物ですから筋交いすらありませんし、土壁で、今で言う耐力壁などありません。しかし、一様に柱も梁も太いのが特徴ですね。
つまり、土壁の粘り強さと相まって、太い大きな柱や梁が耐震性に寄与しているために、いわば華奢な現代住宅よりも案外丈夫なんだとも言えそうですね。

さてしばらく耐震雑学の話をしようと思います。順不同ですが、
・ どうして通し柱は、一回り太くするのか
・ 柱を太くするより、柱埋め込み金物を指定しろ
・門型フレームで大きな開口が可能
・壁は多いほど安定する・・雑壁余力効果




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2011年10月28日

耐震−制度的後進性


 昨日のブログの最後で、「個人の技量に頼る後進的な日本」「そういう意味では、日本って妙に後進的な国なんですょ。」と書きましたが、ついでなので、この話を少しだけ。
昨日、このように書いたのには、次のような理由があったからなのです。

阪神大震災の木造住宅の大きな被害を受けて平成12年(2000年)に軸組工法では大きな制度改革がなされました。
阪神大震災の前と後を比較したのが下の図です。


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■震災前の軸組工法
図のように、阪神大震災があるまでは、軸組工法では、法律で決められていたのは耐力壁の量だけで、耐力壁のバランスも、耐震金物も、床のねじれ強さも、梁の太さも全く決められていなかったのです。
住宅金融公庫が細々と、建物の角の柱にはホールダウンを入れましょうと言った記載があった程度で、これすら強制力はありませんでした。
そのため、これらの部分をどう考えるかは、設計者または施工者の一存で決められていました。

■震災前の2X4工法
ところが、2X4工法では、耐力壁の量だけでなく、耐力壁のバランスの取り方や、昨日説明した帯金物などを入れる規定があり、床の作り方や床面積に応じた違う強度の床面の作り方が法律で決められ、2X4工法では、梁ではなく根太といいますが、これらもスパン表と言って表の中から部材の寸法を選ぶだけで設計が出来たのです。

そのため、阪神大震災でも、軸組工法には大きな被害があったものの、2X4工法工法ではほとんどありませんでした。(注:そのため、その後、軸組工法には大きな法律改正と法律の追加がされましたが、2X4工法はほとんどありませんでした)


このように地震国でありながら、軸組工法は「個人の技量」に依存し、キチンとした法体系や設計上の体系を全く作っていなかったんですね。
ですから、阪神大震災の住宅の壊れ方を見ていると、公庫仕様書の規定を守ったり、耐震の原理を損なわずに設計した住宅は被害が少なく、無理な間取りなど耐震を考えなかった住宅は壊れ方に大きな違いがありました。

特にスキップフロアや大開口のあった家や大きな吹き抜けを作った家などは、特に倒壊も大破もしていない、いわば「小破」に分類される程度なのですが、「これは補修費用が大変だ」という感じで広範囲にひび割れや微少な傾き、ゆがみといった被害が生じていました。

■当時の業界
そしてその当時、日本建築学会や業界などは何をしていたかというと、建築件数の1割にしかならない、そして全工事高の半分程度にしかならない、いわゆる大きな建築物のことばかりに目が向いていたのです。
地震学会で言えば、東海、東南海と言った既知の華々しい地震予知には熱心でも、東北の大津波のことなど、明治三陸地震が身近にあったにもかかわらず、全く眼中になかったのと同じ状態です。
住宅の融資も当時は、銀行は、そんな庶民のはした金の住宅ローンには目もくれず、「住専」という住宅ローン専用の会社が行っていました。

つまり、政府を含むあらゆる関係業界がこぞって華々しい大規模な建築物を対象とした建築業界には目配りをするものの、庶民の唯一の大きな財産である住宅の保護には極めて無関心な時代だったのです。

この大きな流れは今回の原発事故にも見られ、いわゆる「原発ムラ」の関係者は一つに固まり、監督官庁もその「ムラ」に癒着していたのと似たような状態で、東電が仕組みをリードし、保安院がそれを追認していた構図とよく似ています。

阪神大震災の甚大な木造住宅の被害を受けて法改正を計る。大津波を受けて、予知できなかったと地震学会が懺悔する。原発事故を受けて、安全神話がウソであったことがわかる。

そこには、後ろに控える消費者・国民の利益や安全よりも「ムラ」の利益が何事につけても優先される制度的後進性が、阪神大震災以前の住宅行政にも残っていたんですね。

10月3日のブログで「不完全な建築基準法−雪」というタイトルで、2X4工法では、キチンと積雪に応じた耐力壁の必要量が法律で示されているのに、軸組工法では法律で示していない・・という趣旨のことを書きましたが、キチンと法律を見直さない、先送りをする、現場の人間に依存するという体質は、あらゆる業界と分野で行われているこの国の制度的後進性とも言えるでしょうねぇ。

こんなことを書くと、そんなことを言ってどうするんだ。不安を煽るな・・というおしかりの声も飛んできそうですが、要はそういうこともわかった上で、物事を考えていきましょう・・と言う情報提供をしているに過ぎません。

そして、
「政府アナウンス」と、「大丈夫ですアナウンス」と、「審査が通っていますアナウンスと、「検査を受けていますからアナウンス」で安心される方はこの話はスルーしてくださいね。



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2011年10月27日

耐震金物のいろいろと、後進的日本


■軸組工法の耐震金物には大きく2つの種類があります。
その柱(2X4工法ではあれば、耐力壁の際)にかかる浮き上がりの力(引き抜き力とも言います)が1トン以下の場合は、下の写真の上2つのようなL型の金物が使われます。
そして、浮き上がりの力が1.5トンを超えると基礎からボルトを伸ばしたホールダウン金物と呼ばれる金物が使われ、ホールダウン金物は、3.5トンの力まで耐えられる種類の金物が国から認定を受け、市販されています。

■2X4工法では、ホールダウン以外は帯金物と言って、外壁の角と窓やドアの開口部の両側に浮き上がり防止の帯金物と言われる金物が、外壁の外側に写真のように取り付けられます。

■軸組工法と2X4工法の違い
そして、軸組工法は耐震金物を計算でもとめ、2X4工法は、法律として帯び金物の取付が義務づけられています。
でも、軸組工法に浮き上がり防止の耐震金物が義務づけられたのは2000年で、いまからわずから12.3年前ですが、2X4工法は、最初から法律で浮き上がり金物が義務づけられていましたから、こと、耐震性に関しては、実は一歩も二歩も2X4工法の方が先を行っていたのです。

■個人の技量に頼る後進的な日本
このことを比較すると、実は地震国でないアメリカあるいはカナダで発達した2X4工法の方が耐震性が高く、かつ、今でも理にかなった金物などを取り付けているのに対して、地震国であった日本では、木造の耐震制御の方法は、いわゆる「大工」あるいは「街の工務店」のそれぞれの技量に任せられていたんですね。
そしてやっと、木造住宅(軸組工法)の耐震技術がある程度まとまったのが、木造住宅に大きな被害が発生した阪神大震災を契機としてだったのです。そしてその後、2000年にドタバタと新しい法律が次から次に制定されました。

そういう意味では、日本って妙に後進的な国なんですょ。


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2011年10月25日

柱の実際の浮き上がり


昨日は柱の浮き上がりの理屈を説明しましたが、実際問題、どの程度の浮き上がりが生じるのでしょうか。

計算では、下の図のような浮き上がりの力が、柱それぞれにかかると想定されています。

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■柱Aと柱Cは全く同じ組み合わせですが、昨日の説明のように、建物の角にある柱Aには、2.3トンもの浮き上がりが生じると考えられているのに対して、柱Cでは、その半分以下の0.9トン程度です。
建物の角にある柱がいかに浮き上がりやすいかがわかると思います。
しかし、同じ建物の角にある柱でも、柱Aのように強い耐力壁の組み合わせに比べて、柱Jのように1階を少し弱い筋交いに変えると、浮き上がりの力も半減します。
耐力壁の組み合わせによっても、浮き上がりの力が大きく変化するのがわかると思います。

■同様に、柱F.Gのように、いくら1階に強いたすき掛け筋交い(倍率4.0)をもってきても、2階に筋交いが無ければ、大きな浮き上がりは生じていませんね。

そして、マイナスで数字が書かれている柱は、柱にかかる浮き上がりの力よりも、柱にかかる建物自重の方が大きいために、浮き上がらない柱なのです。

このように、その柱に加わる浮き上がりの力は、筋交いなど耐力壁の配置された位置や、耐力壁の強さによって大きく変化するのです。
そして、1.0トンを超えるとホールダウン金物が必要ですから、この場合は建物の両側にある角の柱にホールダウン金物が必要になります。

注:この説明は軸組工法の筋交いを例として説明していますし、耐震金物がもっとも大事なのが軸組工法です。


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2011年10月24日

ホールダウンはどこに必要か?


もう少し耐震性の話を続けますが、今日の話題は、多くの人が知っている「ホールダウン金物」など、耐震金物の話です。

ホールダウン金物は、建物の角に付けなくては・・と思っている方も多いと思いますが、それは正解でもあり、間違いでもあります。

ホールダウン金物に限らず、耐震金物というのは、柱が浮き上がるのを防止するために取り付けます。その原理はいたって簡単ですから、予備知識として知っておきましょう。

■柱に加わる浮き上がり
建物に地震の揺れが加わると横から押されようとします。
そのとき、筋交いなどは浮き上がりの力が柱に加わります。それはちょうど下の図のように三角形の定規を立てて、横から押した状態と全く同じです。そして、耐力壁の反対側の柱は、浮き上がりと反対に土台に押さえ付けられようとする力が働きます。
でも、地震は交互に揺れますから、地震が起こっている間中、どちらの柱も浮き上がったり押さえ付けられたりしています。
この浮き上がりの力は筋交いなどの部材に顕著で、合板などを使った面材耐力壁では少し様子が違い、浮き上がりよりも、横滑りするような形の力が働くようです。
いずれの場合も、浮き上がりの力は耐力壁の強さに正比例しています
つまり、強い耐力壁になるほど、柱に加わる浮き上がりの力は強いのです

■柱に伝わる建物の重さ
同時に柱は建物を支えています。建物イコール重さですね。つまり、柱にもたくさん重さを負担している柱と、そうでない柱があります。そのイメージを書いたのが下の右の図ですが、建物の角の柱はもっとも負担が少なく、反対に中央にあり、かつ、柱の間隔が開いている柱は大きな重さを負担しています。

■ホールダウンは引き算で計算する
では、ホールダウンを含む耐震金物はどう計算しているのかというと、至って簡単で、その柱にかかる浮き上がりの力から、その柱が負担している建物の重さを引いて
プラス=浮き上がりの力が強ければ耐震金物をつけ
マイナス=建物の重さの方が重ければ、付けなくてもよい

ということなのです。

この計算、簡易な方法では、N値計算といって暗算でも可能なように簡略化されていますし、構造計算では柱の一本一本にかかる重さを調べて綿密に計算しています。

■建物の角のホールダウン
ですから、建物の角には壁があるために耐力壁を作りやすい。そして、建物の角の柱は柱の中でもっとも建物の重さを負担していない。
つまり、もっとも浮き上がりやすいという条件が最初から備わっていたから、昔から建物の角にはホールダウンを入れておこうよ〜、なんていうルールが暗黙のうちにあったのです。
しかし、今では、計算で全て求めますから、建物の角の柱であっても、耐力壁を設けていなければ、そもそも柱は浮き上がらないのでホールダウンも不要ですし、耐力壁の位置と強さでホールダウンは変化するのです。

つまり
ホールダウンは、柱が支えている建物の重さよりも浮き上がりの方が強く、
柱が浮き上がってしまう場所に入れる。
それは引き算で、今では計算できる。
だから、必ずしも建物の角に必要・・ということでもない。
そして、強い耐力壁になるほど、浮き上がりの力は激しい。

こんな関係です。

■2X4工法
なお、2X4工法では、耐震等級2.3の計算をしない場合は、ホールダウンは全く設けなくてもかまいません。
それは、上の説明のように筋交いのように浮き上がると言うよりは、スライドするような動きをするので、ホールダウンが緩和されているという工法上の違いです。
注:2X4工法でも、耐震等級2または3を正式にチェックあるいは依頼する場合は、引き抜き力のチェックも行われます。

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2011年10月21日

床の変形を防ぐ(軸組工法)−2


床の変形具合は
1) 床そのものの強さの程度(3つの工法)
2) 床を支えている耐力壁の間隔
に関係があると説明しました。

昨日の説明はいささかわかりにくかったと思いますが、要は、橋桁と橋脚の関係と同じです。
橋が重みで撓めば、橋桁を強いものに変えるか、あるいは橋脚の間隔を狭くします。
これと同じように、床は橋桁のように下に撓むわけではありません。水平方向に変形するのですが、地震によって床が変形すると直すのに後で困りますし、建物が傾いたら困るように床も変形したままでは困りますね。

そこで、耐震等級2と3では、一定の限度に床の変形が収まるように設計しなさいという規定が作られています。
具体的には、耐力壁の間隔が間取り上で決まれば、法律が決めた一定の程度以下に床の変形が収まるように、床の強さ(工法)を選んでいくのです。

■2X4工法に規定がない理由
2X4工法にはこの規定はありません。
それはこの工法自体が、床は前回の図で言う「剛床−1」で作りなさい。そして、耐力壁の間隔は12m以下であり、かつ、耐力壁に囲まれた床面積は40m2以下であることといった規定があるために、結果として耐力壁の距離が大きく開くことはないのです。
特に耐力壁で囲まれた区画が40m2以下と言うことは、幅6mであれば7m程度の奥行きの部屋しか作れませんから、壁と壁の間隔が広くなっていかないのです。
そして、40m2を超えたい場合は、より強い床(剛床-2)にすれば60m21まで広げる古ことが可能ですから、床の強さと耐力壁の間隔という理屈は、軸組工法も2X4工法も同じなのです

つまり、それを最初からルール化しているのが2X4工法。
していないから、耐震等級2または3でルール化しようとしたのが軸組工法なのです。

■補足
構造計算によって耐震等級2または3を求める場合は、構造計算の前提そのものが、剛床−2の床を前提としているので、基本的には床の強さのチェックはしていません。
■訂正:現在の構造計算では、床の強さも計算、確認の対象となっています。



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2011年10月20日

床の変形を防ぐ(軸組工法)


建物が地震を受けると、建物が傾くのと同じように、床もゆがもうとします

そして、軸組工法の場合は、床を作る際の工法が
1)火打ち梁を使ったもの
2)剛床工法
の2つに大きく分かれるのですが、それぞれに床の強さ(変形具合)が異なります。

11-1020-1.jpg


火打ち梁を使った工法は床の変形に最も弱く、
次に構造用合板で床を作る方法が剛床と呼ばれる方法で2の方法があり、
剛床−1と呼ばれる釘を3列に打った工法がその次に強く、
もっとも強いのが剛床−2と書いている釘を合板の4周全てに打った工法です。
注:剛床の1.2という記号は説明のために便宜上つけた名称です。格別に区分けして名称が付いているわけではありません。
  ただ、剛床-1は、根太レス工法とも呼ばれています。


■床の変形は、床そのものの強さとそれを支える耐力壁の間隔に関係する
でも、弱いという火打ち梁でも、図の一番右のようにように細かく入れれば強くなります。

ということは、床の強さは、床そのものの強さの程度と、その床がどの程度の間隔・距離で支えられているのかで変形具合が違ってくるのです。

そして、その変形を防いでいるのが耐力壁です。
耐力壁を支点として床はゆがみます。
つまり、床そのものの強さと耐力壁の間隔が、変形しない床か、そうでない床なのかを決定づけているのです。

明日に続きます。

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2011年10月18日

耐震等級2の薦め、その理由


以前、耐震性を考えるなら「耐震等級2」がお勧めですし、住宅会社の力量を知るためには「長期優良住宅」の仕様がよい、といった事を説明しました。
(「長期優良住宅」の仕様は、耐震等級2が必須事項ですから)
その理由の一つは、今まで説明してきたように、耐力壁の量が、耐震等級1と、等級2.3では、異なるということがあります。

でも、耐震等級を薦める理由はそれだけではありません。
建物の耐震にとって、とっても大事なことが、耐震等級2または3でチェックされるのです。

下の図は、耐震等級1(建築基準法同等)と、耐震等級2または3の違いを表にしたものです。

耐力壁の量とバランスは等級に関係なくチェックされます。ただ、耐力壁の量だけは、各等級で必要な量が異なり、等級が高くなるほど、必要量は増えていきます。
でも、接合部の強さと床の強さ、基礎の強さ、梁の強さは、等級1ではチェックする必要が無く、等級2または3をクリアさせるためには、この部分のチェックが新たに求められているのです。

■接合部の強さ(2X4工法のみ)
軸組工法では、全ての等級で法律でホールダウンなどの計算をしなければなりませんが、2X4工法では緩和されており、耐震等級2または3で初めてホールダウンなどの必要かどうかの計算が要求されています。接合部のチェックとは、建物か地震を受けたときに、建物が浮き上がらないかどうかをチェックするのです。軸組工法では浮き上がりが起こりやすいのですが、2X4工法では、起こりにくいので、等級1の時は不問でした。

■床の強さ(軸組工法のみ)
2X4工法は最初から「剛床」といって地震が来ても変形しにくい強い床なのですが、軸組工法は火打ち梁を設けるだけだと非常に変形の弱いのです。等級1であれば火打ち梁だけでも良いのですが、耐震等級2または3をクリアさせるためには、もっとも強い剛床を作る必要があり、そのチェックが行われます。

■基礎の強さ(軸組工法、2X4工法とも)
耐震等級2または3では、窓があったり、開口部があると鉄筋を補強するなど、より強い基礎を設計するように求められていますから、耐震等級1(建築基準法同等)の時の基礎よりもはるかに強固な基礎になります。

■梁の強さ(軸組工法のみ)
軸組工法で耐震等級2または3で建物を作る場合は、梁の太さや梁と梁の接合方法が問題ないかのチェックが要求されています。

以上のように、単に耐力壁の量が違うだけでなく、より強い建物になるようにいくつかのチェックポイントが新たに設けられているのが、耐震等級2または3なのです。


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次回は、このあたりの少しだけ詳しく説明してみます。



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2011年10月17日

耐震・免震・制震

耐震という言葉は昔から使われているなじみのある言葉ですが、最近では「免震」と「制震」という言葉がよく使われています。よく似た意味を持っているのですが、微妙に違います。

■耐震
簡単に言えば、建物を地震に対して耐えられるように強くする、という意味で、耐震性を高くする、耐震等級、といった言葉で使われています。建物が取るべき地震に対する基本的な備えで、実際には「筋交いに代表される耐力壁」が使われます。

免震と制震。
ややこしいのはこの2つですね。

■免震とは、地面から伝わってくる地震の揺れを、建物の根本に「免震装置」を設けて、「建物に伝わってくるまえに、地震の揺れそのものを小さくしてしまおう」という理屈から生まれた耐震の方法で「免震装置」としては積層ゴムなどが代表的です。

■制震とは、「建物に伝わって来た地震の揺れを弱くしよう」という発想から生まれた耐震技術で、建物の要所に「制震ダンパー」などを取り付けて、伝わって来た揺れそのものを弱くしようという試みです。

つまり、建物に揺れが伝わる前に揺れを低減しようとするのが「免震」
建物に揺れが伝わってきたのちに、その揺れを低減しようとするのが「制震」です。

ただ、「免震」も「制震」も本当の意味では、まだまだ大地震の洗礼を受けていません。実験や研究に基づいて装置を設計し、取り付けていますが、数ある「免震技術」「制震技術」の中で、大地震(震度6強から7程度)の洗礼を受けたときに初めて、本当の意味でその実力を知ることになります。


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2011年10月14日

耐震性:軸組工法の配置の制約


昨日は、軸組工法では意識しないと高い耐震性は確保できないが、2X4工法では、そういう意識が無くても高い耐震性が確保でき、工法そのものに違いがあると説明しました。

似たような問題に、耐力壁の配置の制約があります。
軸組工法では、筋交いは90cm以上離れた柱と柱の間に設ける必要があり、幅が60cmや45cmでは、筋交いとして効果が発揮できません。つまり、いくら幅の狭い壁があっても使えません。また、合板を使うにしても、幅60cm以上は必要ですが、それぞれ柱が両側に必要です。

ところが2X4工法は、幅こそ60cm以上の壁という制約はありますが、そもそも「柱」なんてものがありませんから、壁が連続してさえいれば、それは全て耐力壁になるのです。

この違いは外壁では意外と大きく、玄関ドアやリビングの掃き出し窓以外は、意外と幅45cm程度の小さな窓も多いのです。そうすると、下の図のように、2X4工法であれば、壁の全てを耐力壁として計算できるのに、軸組工法では、柱のあるところしか耐力壁としてつかえません。
小さな壁は、耐力壁として使えないので、間取りによってはそういう壁が数多く残される場合があります。
注:軸組工法では、耐力壁のために柱を動かすという感覚、意識がありません。

この結果、軸組工法というのは、昨日説明した耐震に対する意識の有無以外に、配置の制約から、さらに格差が広がる工法的宿命を持っているんですね。

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2011年10月13日

耐震性:意識しないで強くなる工法、そうでない工法


軸組工法と2X4工法では、耐震性に1ランクほどの大きな差が生じています。
そして、それは設計者の能力ではないと言いました。
その理由は何でしょうか。

■軸組工法は、種類も多く、設計を意識する必要がある
軸組工法は、下の図のように、筋交いだけの耐力壁、構造用合板を使った耐力壁、そして、この両方を併用した耐力壁と実に多くの種類があります。
最初から外壁の合板を張る会社であれば、少なくとも合板を面材耐力壁として利用できますが、内部結露を防ぎたいという理由から、合板などを張らない会社は筋交いしかありません。
そして、筋交いとて、倍率2.0の片筋交いもあれば、倍率4.0のたすき掛け筋交いもあります。
もちろん、耐力壁を入れないという選択もあるのですから、組み合わせは設計者が意識的に配置をしなければ決まらないのです。

■2X4工法は、種類もなく、設計者は意識する必要がない
反対に2X4工法では、外壁は構造用合板などを張るのが工法としての決まりです。そして、室内は石膏ボードしか使いません。
そうすると、実は外壁は1種類、内壁も1種類の組み合わせしか無いのです。
しかも外壁の壁は、全てが耐力壁となります。
そうすると、2X4工法の設計者は、どんな耐力壁を配置しようか・・なんてことをまったく考える必要がないのです。
そして、室内の壁も石膏ボード以外は使いませんから、これも強度は一種類しかありません。

■耐力壁を意識しなければならない工法か、そうでない工法か
一番に下の図は、8畳ほどの部屋を描いていますが、軸組工法は組み合わせがありすぎて、設計者が意識的に耐力壁を配置しなければならない。
反対に2X4工法は耐力壁の意識などしなくても、勝手に耐力壁になる
という工法上の大きな違いがあるのです。

■結局−能力ではなく、意識の差に左右される軸組工法
軸組工法では、耐震性に関して高い意識を持った設計者なのか、耐震性に全く興味が無く、ただただ建築基準法をクリアしていればいいと考えている設計者なのか、つまりは、耐震性の設計能力ではなく、耐震性というものを意識して設計しているかそうでないかの違いが現れるのです。
耐震性に意識のない設計者は低い耐震性となり、耐震性の意識が高い設計者は、耐力壁の配置も慎重で建物に高い耐震性が与えられます。
このように軸組工法は、設計者の耐震に対する意識に大きく大きく依存しているのです

対して、外壁であれば、自動的に構造用合板が張られ、室内側は石膏ボードを貼る2X4工法では、全てが耐力壁になり、それほど耐震性を軸組工法ほど意識する必要しなくても、結果として高い耐震性が得られる仕組みになっているのです。

注:ここでは軸組工法も2X4工法も構造用合板と書いていますが、これ以外にダイライトやOSBあるいはMDFといった面材耐力壁を使っている会社もありますが、倍率に多少の違いがある場合がありますが、基本は同じです。説明上、構造用合板に統一しています

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2011年10月11日

耐震性 軸組工法VS2X4工法


住宅の大多数を占める木造住宅。そのうちで正確な統計はわかりませんが軸組工法が7割程度、2X4工法は3割程度の割合を占めているのではないでしょうか。
さて、両方の工法にはいろいろな特徴があるのですが、耐震性はどちらが強いのでしょうか。

サポートサービスでは、約1000件以上の耐震性がわかる事例を扱ってきましたが、その中の傾向は下のようなものです。
注:いずれも、特に耐震性を指定していない場合です。

■軸組工法
耐震性の中心域、そして、最多域がおおむね耐震等級2を少し下回るあたりです。
そして、最低では建築基準法ギリギリという設計も見受けられますし、最高位では耐震等級2を超えたあたりです。
特徴的なのは、特別に耐震等級3を指定しなければ、どの設計も耐震等級3をクリアさせている住宅はありませんでした。

■2X4工法
耐震性の中心域、最多域は耐震等級3を少し下回る程度で、最低ランクでも、耐震等級2程度。
最高では、普通の設計をしていても耐震等級3をはるかに飛び越える高い耐震性を持った住宅もありました。
注:図では耐震等級4なんて等級はありませんが、イメージとして書いています。

つまり、こと耐震性に関しては、特別に耐震性を高くしてください・・と言わなくても、軸組工法よりも2X4工法の方が耐震性は高くなるのです。
では、どうして、どちらも同じような間取り、同じような規模なのにこれだけ耐震性が違うのでしょうか。

その理由は・・・。

設計者の能力や意識の違い??
いえいえ。設計者の能力に差があるのではありません。

工法の仕組みそのものに隠された大きな秘密があるのですよ。
次回に続きます。


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2011年10月07日

ついでに地震保険の料率は・・


ついでなので、地震保険にも地震の頻度に応じて、地震保険料が異なります。
二つを比較する図を作ってみました。
前の地域地震係数は、地震の確率が高い地域を1として、後は低減する4段階でしたが、地震保険の方は、地震リスクの低い方を1として5段階になっています。


しかし、どちらも見比べてみると、まぁ、あまりアテに出来る代物ではありませんね。
地震保険で言えば、なんとなく、知れ渡っている東海、東南海と言った震源域に接する地域は高いのですが、それ以外は極めて低く、たぶんですが、関西で言えば地震の空白地になっている京都、滋賀などは今後内陸直下型の地震がいつ起こっても不思議ではないでしょうし。

あまり、これらの資料は参考にせず、「想定外」の言い訳を聞き流せる「備え」を持ちたいものですね。

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注:一部色分けの間違いがあるかもしれません。詳しくはネット検索で調べてください。

来週から、「軸組工法VS2X4工法」の話を続けます。
・どちらが強い耐震性
・無意識に耐震等級3になる2X4工法
・意識しないと耐震等級3にならない軸組工法
 その理由は・・・
といった話です。

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2011年10月06日

大どんでん返しの地域地震係数


さて、地域地震係数を使うとどうなるのでしょうか。
耐震等級2または3の場合は、下の図のように、
「床面積 x 地震係数 x 上下階比率 x 地域地震係数」です。
これは、壁量計算という方法での求め方ですが、構造計算でも同じで、
「建物の自重 x 層せん断係数 x 地域地震係数」となります。
そして、地域地震係数を使うかどうかは任意です。

そうすると、仮に地域地震係数が0.8で良いと指定されている地域を例に取り、1階が100u、2階が80uの住宅で計算してみると、図のように地域地震係数を考慮しなければ、耐震等級2では、等級1の1.37倍の強さになるのにたいして、地域地震係数を加味すると、たった1.09倍、言い換えれば等級1(建築基準法)にほんの少し毛が生えた程度の安全度でしか無くなってしまうのです。
耐震等級3も同様に、何もしなければ1.64倍の強さだったのに、地域地震係数を加味すると、耐震等級2程度の1.31倍程度に耐震性が下がってしまいます。

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地域地震係数は、地震の確率が少ないという理由から決められているのだろうと思いますが、0.8の地域で起きた福岡西方沖地震などの例のように、あるいは地域地震係数が0.9の地域で見られた新潟中越地震を含む幾多の地震のように、これらの地域だから、地震は起きない。あるいは起きても地震の力は弱いのだ・・というものでもありません。

もし、この地域で住まわれている方が、
「長期優良住宅は耐震等級2が必須だから地震にも安心だ」
「耐震等級2または3にしておけば地震に対して安心だ」
というお考えで、耐震等級2または3を目指されるのであれば
地域地震係数を考慮しない計算をするように、設計者に求めるべきでしょうね。


遠い将来、未知の断層を震源とした大きな地震を受けて被害を受け、「おかしいなぁ。耐震等級2で作ったのなぁ・・」と疑問に思いつつ、計算書を精査してみたら、コソッと地域地震係数が入れてあり、地震力を低減されて計算されていた・・ホントの実力は基準法の1.09倍だった・・なんてことにならないように・・ね。

注:単に融資利率のためや、地震保険料低減のためで、耐震性を高くすること以外の目的で耐震等級を理由される場合は、それはそれで良いと思います。


以上、とってもお節介なお話でした。


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2011年10月04日

不完全な法律−地震力の低減


昨日は軸組工法の2階建て住宅の場合は、「積雪を全く無視した法律」だったという説明をしました。

今日は、今まで説明してきた「建物に加わる地震力を低減して良いよ。」という法律のお話です。
これを「地域地震係数」と言いますが、
地震が少ない地域では、そんなに無理して高い耐震性を建物に付加する必要は無いと思うから、計算で出てきた地震力を低減しても構いません
という法律で、この規定を使うのは任意なのですが、下のようなエリアで区分され、本来の数値を1とすると、その数値の9割の地震力でよい。あるいは、8割の地震力でよいという地域が示されています。
注:詳しいエリアを知りたい場合は、Google等で「地域地震係数」で検索してみてください。

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当然ながら、地震力を低減しても良いと言うことは、必要な耐力壁の量も少なくて良い・・ということに他なりません。

ところが、この10年ほどの地震を調べていくと、この低減地域でもそれなりに大きな地震が起こっているんですね。

象徴的なのは、新潟中越地震です。震度7を記録しています。大きな被害が出ました。
そして、それ以外に大きな被害があったところでは、福岡県の福岡西方沖地震や鳥取県西部地震などが上げられます。
それ以外にも図示しているように、マグニチュード7前後の地震がいくつも起きていますが、幸いにも都市部など人家が密集した地域でなかったから被害が少なかったというだけのことに過ぎません。

さて、この地震力を低減できるいわばボーナス制度。
実際の計算ではどう働くのでしょうか。
実は、「私の家は、長期優良住宅仕様で建てたから耐震等級2なのよ・・」と喜ぶのは早い!!
この係数を使うと「大どんでん返し」の結果になってしまうのです。
それは次回に・・。



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2011年10月03日

不完全な建築基準法−雪


誰しも、国が作っている法律は、多少の時代的なズレはあるとしても、それなりにまとまっているのだろう・・なんて思っているところがあるのだろうと思います。
でも、法律って意外と不完全、無責任なところがあります。
今日と明日は、そんなお話です。


■恐るべき雪の重さ
前回まで、地震力の計算の原理を説明してきました。そして、説明図の上では「積雪荷重−雪の重さ」も加える必要があると説明しましたが、実は、雪については、説明らしい説明はほとんどしていないのにお気づきだと思います。それは、都会っ子には、雪なんか関係ないと言うこともありますが、もう一つは、今日の話がしたかったからなんですね・・。

雪の重さ・・・とっても重いんですね。
下の図のように積雪1mの雪の重さは、約300kgもあります。
約と書いたのは地域によって雪の重さが指定でき、たとえば札幌市では高さ1cmの雪の重さは3kg/uで、金沢市では2.9kg/uとなっています。(指定がなければ、法律では最低2kg/u以上です)

この重さ、地震用の法定積載荷重の60kg/uよりはるかに重いですね。
そして、札幌市では、積雪1.4mのエリアと、1.9mのエリアが指定され、金沢市では、積雪1.0mのエリアから積雪2.0mのエリアまで指定されています。

積雪2mなんて、重さ約600kgですよ。
2階の床面積が50uだとすると、なんと30トンも2階の屋根に載っているんです。
都会育ちの人間からすると考えられないほど、恐ろしい重さです。
そして、そこに大きな地震が来ると大変だ・・と想像できますね。


ちなみに私も、雪の重さの大きさに本当かいな〜と数回の検算をしましたが、間違っていないと思いますよ・・。


11-1003-2.gif



さて。。。。雪の重さがわかってもらえたところで、


■軸組工法では積雪を考慮していない
下の表は、軸組工法と2X4工法の2つの工法の法律で指定されている「地震係数」です。床面積にこの係数をかけることで、必要な耐力壁の量を求めることが出来ます。

11-1003.gif


ところが・・・

2X4工法では、積雪1mから、積雪2mまでの「地震係数」が示されています。
平屋建てで見るとその違いがよくわかりますが、
・雪の降らない地域では、地震係数は11(軽い屋根)
・積雪1mの地域では、地震係数は25と、積雪なしの地域の2.2倍以上
・積雪2mの地域では、地震係数は39と、積雪なしの3.5倍
と積雪の有無で必要な耐力壁の量が大きく変わります。

ところが、軸組工法では、積雪時の係数が示されていないんですねぇ。

仕方ないので札幌市では、全てを重い屋根の住宅として設計せよ、と市条例で定めてお茶を濁しています。(金沢市は調べていません!)

なぜ、2X4工法ではキチンと積雪を考慮した係数を示しているのに、軸組工法だけ示していないのか。すでにこの法律が出来て60年以上を経ているのに、何も改定されていません。
うがった見方をすれば、積雪地域のことは、「おまえたち、勝手にやれ。そんなところまで手が回らん。興味がない」と言うことなのでしょうか。


そして、サポートサービスの図面を見ていると、意外と札幌など北海道の住宅会社が設計した住宅で積雪荷重を全く考慮せず、条例通りの重い屋根だけで計算し、しかも建築基準法ギリギリの壁量しか確保していない住宅によくお目にかかります。
金沢などの北陸三県でも、そんなに積雪時の耐震性を考慮していると感じた建物はあまり多くありません。(軸組工法2階建てでも、構造計算をしている建物は積雪が考慮されていますが・・)

たぶんですが、札幌などは意外と、都会的感覚でフラットな屋根をした住宅も多く、融雪装置が発達していますから、いつまでも屋根に雪を乗せておくことがないのでしょう。北陸三県では、地域性からか、瓦屋根も多く、融雪装置の普及も低いと思います。それなのに、なぜか軸組工法だけ法律を改定しない国、そのまま積雪を考慮しない設計者のどちらをとっても、いい加減な話です。

ですから、雪国で、軸組工法を「建築気準法を守って建てています・・」といったところで、こと耐震性に関しては何の気休めにもなりません。

このように法律って、意外と不親切、不完全、無責任なところがあるんですねぇ〜。


■補足
3階建ての住宅は、キチンと積雪荷重を考慮すべきという法体系になっています。
性能表示制度を使った耐震等級2及び3の場合も、積雪は考慮されていますからご心配なく。


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2011年09月30日

設計者のお寒い耐震設計能力


今も昔も、構造計画と間取りをうまく両立させていくのが、設計の基本です。
しかし、間取りを考える設計者(意匠設計者)の中には、安定した構造計画など全く顧みず、いたずらに見栄え写りの良い間取りだけを考える設計者もそれなりの数が存在しています。

間取りの主導権は、構造設計者が持っているのではなく、意匠設計と言われる、いつも建築主と顔を合わす人たちが持っています。しかし、かれらは構造計画という基本的なことがらすら顧みないのですから、その結果、5月17日のブログ「構造計算は安全なのか?」が説明したような、構造的に無理な間取りがつくられます。

■構造を軽視した設計者が少なからずいること。
下の図がそのとき使った図ですが、変形した間取りは、地震時には「堅さの違う床の接点にひずみが生じやすく」なりますからその弱点を補強しないと地震には弱いですが、構造の基本を知らない限り、そのような弱点があることすら気づきません。
かれらは、ただただ、耐力壁の量があればいいのだろうと考えて設計してしまいます。
そして、そのような人が人が設計した建物には、構造的なリスクがより以上に隠されているんですね。。


11-0930.jpg


実はいつの世も、地震で被害を受けているのは、実は構造計画に無理があった建物なのです。必ずしも古いから弱いとか、耐力壁の量が少ないから弱いと言うほど単純な世界ではなく、変形した構造的に無理に間取りの建物ほど耐震性は弱くなります
そして、構造計算をしているから安心・・なのではなく、実は無理な間取りに計算がつじつまを合わせているに過ぎないのです。なぜなら、上の図だって、計算上のつじつまは合うのですから。


■普通の設計者でも、耐震等級まで自分で設計できる人は未だに少数派。(構造設計者に依存)
今まで数回に分けて、建物に加わる地震力とは、重さに関係するし、本当は、計算は簡単なのだといった趣旨のことを説明してきましたが、
・「層せん断係数」なんて言葉を知っている意匠設計者は一握りの人たちでしょう。
・自分が設計した建物の重さを計算できる人も一握りの人たちでしょう。
・そして、未だに耐震等級の話を避けて通る設計者がいるのも事実です。


11-0930-2.gifほとんどの設計者は、耐震設計など構造設計者の仕事だとばかりに、間取りだけを考え、後は構造設計者に依存してしまっているのが現実です。

まだまだ耐震設計に関しては建築主の期待とは裏腹に、設計者のお寒い実態がこの業界の一部にあるのは事実です。
そして、脅かすわけではありませんが、次週はもっとお寒い法律の世界を少しだけご紹介していきます。

注:過半の設計者は、構造計画を知る知らないにかかわらず、結果として安全な設計をしています。
注:ブログやWEBで、長期優良住宅(耐震等級2が必須条件の一つ)を薦めていたのは、このような設計者あるいは住宅会社の設計能力の踏み絵にもなるからですね。 



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2011年09月29日

耐力壁の必要量を計算する


難しそうな話は、今日でおしまいです。
さて、建物の重さから、その建物が受ける地震の力が計算できました。
単位はトンです。
前回の事例では3階建ての、各階の地震力の計算例をお見せしましたし、1階自体は、ややこしい計算無しで、とにかく重さに0.2か、0.25か、0.3をかければよいことも説明しました。

では、その地震にどうやって対抗するのか。
それは「耐力壁」で対抗するということはいろんな場面でお話ししましたが、どれだけの量を配置すればいいのでしょうか。

これは、実はものすごく簡単です。
下の図のように、地震力を耐力壁の量が上回ればよい。
そして、耐力壁は、『長さ1mの倍率1の耐力壁は、200kgの地震に抵抗できる』と言うことが決められています。(研究や実験で導き出された)
耐力壁の倍率も法律できめらています。
そうすると、あとは必要な長さを割り出して、それが地震力を上回れば良いだけです。

下の図の通りです。

11-0929-1.gif


実際の例で計算してみると、昨日のモデルは、幅4m、奥行き8mほどのかわいらしい3階建てを想定していたのですが、1階に加わる地震力は39.3kNすなわち、3.9トンです。
仮にたすき掛け筋交いを使うとすると、たすき掛け筋交いの倍率は法律で4と決められているので、幅91cm当たりの抵抗できる強さは、4x200x0.91=728kg/カ所ということになります。
後は、3.9トンの地震に負けないカ所数だけ配置すればよいことになります。


11-0929-3.gif


構造計算。特に耐震設計って難しそう・・と思いがちですが、その原理は、実は本当に中学生レベルの、四則計算でも可能な、EXCELがあればあっという間に計算してくれる代物なのです。
2.3階になると少し間に計算式が入りますが、こと1階に関しては、今までの説明の通りです。


おさらいをしてみましょう。
1.ひたすら建物の重さ(材料の重さ)を計算する
  といっても、単位荷重の多くは示されているので、床や壁の数量を拾う方が大仕事
2.法律で決められている積雪荷重を加える。(2階または3階の床面積x60kg/m2)
3.雪が降る地域は雪の重さもいれる
4.全部の重さに、層せん断係数(0.2または0.25または0.3)をかけると1階の地震力が出る

5.どんな耐力壁を使うか決める
6.耐力壁1カ所当たりの強さを計算する
  (91cmモジュールが多いので、上の例もそうしています)
7.地震力から耐力壁/カ所を割ると必要な箇所数が出る


それだけのことです。
理数系が強い人であれば、そして、その気になれば、誰でも自分の家の地震力を計算したり、必要な耐力壁の量を計算することが出来るのです。
注:使用する単位荷重が、自分の建物に合致しているか、多少の上積みが必要であるか、といったことはある程度の経験が必要ですが、それ以外は決められた係数を使った単純計算の繰り返しです。

頭がくらくらするような、難しそうな話はこれまでです。
次回は、
「構造計算なんて手計算で十分さ」
「雪国なのに、積雪荷重を見ていない法律のお粗末さ」
「大どんでん返しの地域地震係数」
といった話を続けます。

要は、シビアそうに見えている法律も、本当はザルのような部分がたくさんあるのです・・。というお話。
原発の安全神話に似た「似非安全性」が、耐震性の法律の中にも隠されているというお話です。


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2011年09月27日

2階建てと3階建て


ついでなので、2階建てと3階建ての違いを図示してみました。
3階建ての建物は、頭でっかちですね。
上に2階分が載っているからなおさらですし、積載荷重も2階建ての場合は、2階だけを考えれば良いのですが、3階建ては2階と3階の2層分を加算する必要があります。

建物自重も、同じ面積であるとすれば、3階建ての方がより重くなるのでしょう。
つまり、3階建てはいい加減な設計ではダメ。
キチンと構造計算をして、安全性を確かめないとダメ。
というのが、この図を比較してもうなずけそうです。

11-0927.gif


次回は、では、その建物に襲いかかる「地震力」はわかったとしても、それに対抗する耐力壁はどれだけ配置すればよいのか、というもう一つの問題ですが、これもいたって理屈は簡単です。
理数系の人なら、一発でわかってしまうほど簡単な理屈をご紹介します。

後でも説明しますが、本来の耐震設計って実は、中学生の習得知識で全て計算も理解も可能なものばかりなのです。


■ついでながら、3階建ての地震力の計算例を示しておきます。

わっ。もうイヤ!!
難しそう!!
見たくない!!


という声が聞こえてきそうですが、やっていることは馬鹿のような単純作業です。
こと1階の地震力は、ひたすら建物自重と積載荷重(60kg/m2)と地域によっては積雪荷重を計算して、建物の全体としての重さを出し、後はそれに耐震等級1ではあれば0.2をかけるだけです。
そして、建物の重さは、1階の階高の下半分はいらない・・ということです。
理屈はいたって簡単ですからね〜。

余談ですが、単位荷重の代表的な部分は法律で示されていますが、実際には構造設計者の性格で、安全側に重たく単位荷重を見る人と、法律ギリギリの荷重で見る人などいろいろです。
ということは、実は、全く同じ建物でも荷重の拾い方に個人差が出ますから、計算されてくる地震力は構造設計者によって幅がでるんですよ。

一番下の1階の重量累計は、196.5kN(19.6トン)となっていますが、人によっては、単位荷重を重めに見たり、壁の長さなどを少し余分に見たりしていると、全体として250kNになったり、あるいは180kNになったりします。そうするとこれに0.2をかけたのが1階に加わる地震力ですから、人にょって算定される地震力が違ってきます。

言い換えれば、厳密そうに見える構造計算も、ある面でものすごくファージーなのです。
(どちらかというと重めに計算する構造設計者が多いですが・・)


11-0927-1.gif


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2011年09月26日

地震には軽い建物が良い


 耐震の話をするとき、「地震には建物を軽くした方が良い」あるいは「瓦のような重い屋根材より、軽い屋根の方が良い」といった話を聞くことがあります。

その理由は、地震の力は建物の重さにほぼ比例するからです。
重い建物は、より強い地震の力を受けます。

地震の力を計算する・・というと、ものすごく難しそうに聞こえますが、その理屈は至って簡単で、計算が『邪魔くさい』だけで、多少時間はかかりますが電卓でも、エクセルでも可能です。

地震の力は、下の図のように、「1)その建物の自重(材料の重さ)と、2)法的に決められた積載荷重(地震を計算するときは60kg/m2)と、3)雪がふる地域は積雪荷重を入れて、建物の重さを計算し、それに「層せん断係数」という係数をかけるだけです。(注:1階の場合です。2階は間にもう一つだけ計算式が入ります)

要約すれば、「建物の重さ」x「層せん断係数」

そして地震力は、何トンといった重さで表されます。

総せん断係数というものも係数なので、耐震等級によって変化するだけです。

ということは、建物の重さで、その建物にかかる地震の力は変化します。


馬鹿みたいに理屈は簡単ですね。

ただ実際の計算は、図の一番下に2階の建物自重を計算する表を参考につけていますが、屋根の面積や外壁の面積、間仕切り壁の面積等々の拾い出しがいささか『邪魔くさい』だけで、前回説明した、1階の上半分の重さと、2階の全ての重さと、2階の積載荷重を合計していきます。どう考えても邪魔くさいです。

余談ですが、数字の羅列が全く気にならない人が、建築の世界でも構造設計などを目指します。数字の羅列を見ると頭が痛くなる人(ほとんどの人がそうですが)は、この世界には行きません。
ちなみに、私なんかは数字の山を見ただけで、書類を机の片隅に追いやりたくなります。


・・で、邪魔くさい計算方法は置いといて、
この計算式でわかるように、
もし、床面積が同じであれば、積載荷重は変わりませんから、
地震の力は、建物の自重。すなわち仕上げに大きく影響されます。


床や天井は、ポピュラーな仕上げを行う限りでは、そんなに大きな違いはないですが、瓦屋根の重さは、カラーベストの約2倍の重さ。外壁モルタルはサイディングの約3倍の重さですヨ・・。ご存じ!!

このことから、重い建物より、軽い建物。重い屋根より、軽い屋根の方が『同じ耐力壁の量であれば』より、地震に対して安全と言うことになります。

その建物に加わる地震の力は、ほぼその建物の自重(材料)に比例し、その中でも屋根や、外壁の仕上げの変化が大きいのです。



11-0926-2.gif

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2011年09月22日

2階の広さに左右される1階の耐震性


前々回「1階の耐力壁の量は、実は2階の広さに決定的に左右されるのです。」と書きましたが、今日はその説明です。

建物の耐震設計をするためには、最初に
1.その建物に加わる「地震力」を計算しなければなりません。
2.次に建物に耐力壁を配置して、計算された「地震力」よりも「耐力壁の量」が多くなるように配置します。
3.同時に、耐力壁の配置が偏っていないかをチェックします。
4.その上で、それぞれの耐力壁の柱や壁に、ホールダウンが必要かどうかを計算で求めます。

耐震設計って、大きくはこの手順で行われます。

では、どうして「上下階比率」のようなものが出てくるのでしょうか。それは、建物に加わる「地震力」を求めるのに一定のルールがあり、建物の重さは下の図のように計算しています。

11-0922.gif


■1階に加わる地震力
1階の階高の上半分重さと、2階の全ての重さを加えたもので計算します。

■2階に変わる地震力
図のように2階の階高の上半分の重さだけで計算します。

つまり、単純に1階の重さ、2階の重さと割り切って計算していないんですね。
そのため、1階の地震力は、上に載っている2階の広さに大きく、大きく左右されるのです。
2階の面積が少なければ、1階への負担は少なくなり、2階の面積が広ければ、1階への負担は大きくなります。

たとえば、電車で次のような子供を背負ったとしましょう。
幼児を背負ったとき(小さな2階)。小学生の子供を背負ったとき。中学生の生徒を背負ったとき(広い2階部分)。
それぞれに重さが重くなるほど、踏ん張る力を強くしなければ電車の揺れに負けてしまいますね。
それと全く同じことで、いわば1階が背負うべき重さを正しく計算していたのが「上下階比率」という部分だったのです。

耐震等級2あるいは3の計算で「上下階比率(仮称)」をわざわざ計算に含めたのは、このような理由−いわば、より正確さを増した−からなのです。
反対に、建築気準法だけの等級1の計算では、こんなややこしい計算は求めていません。
言い換えれば、おおざっぱに計算式を作っている、とも言えますね。

11-0922-2.gif



次回は、説明を端折った「その建物にかかる地震力」の計算です。
難しそうな話ですが、理屈はものすごく簡単です。
そして、なぜ「軽い屋根」「重い屋根」の区分があったり、地震に対しては「軽い建物のほうがよい」という理屈はすぐに飲み込んでもらえます。

そんなお話です。


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2011年09月21日

災害の年なんでしょうか?


今日は水曜日。とりとめのないお話の日ですが、なかなかそう軽〜く流せる状況ではないようです。
今年は、『災害の年』なのでしょうか。
3月の東日本大震災。2度続く台風被害。

11-0921.jpgちょっとした『台風の気まぐれ』で、あるところには集中豪雨が続き、その横は雨を逃れる・・。
幸い私のいるところでは、2度の台風ともに、雨脚の激しい場所から少しだけずれていたので被害はありませんでしたが、お隣の町や周囲では床上浸水などの被害もあったようです。

そして聞こえてくるのが「50年住んでいてこんな出来事は初めて」といった驚愕の言葉なのですが、どうも私たちは、この言葉の使い方をそろそろ変えなければならないのではないかと思っています。


下の羅列は、M8以上の地震だけを抽出しています。
(出典は地震の年表 (日本) Wikipedia)
記録の残されている6世紀以降の分だそうです。

■近年をたどればM8以上の地震は、100年と経ず、常に発生しています。
東日本大震災以外で、私たちに大きな被害をもたらした最近の3つの地震は、せいぜいM7.3以下です。
兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災、阪神大震災) - M 7.3
新潟県中越地震(新潟県中越大震災) - M 6.8
新潟県中越沖地震 - M 6.8
なんとまぁ。かわいらしい規模の地震でしょうか。。


(出典は地震の年表 (日本) Wikipediaより抜粋)
684年白鳳地震(南海地震、東海・東南海連動説有) - M 8.0〜8.3
869年7月9日貞観三陸地震 - M 8.3〜8.6、陸奥国
1096年永長地震(東海・東南海地震) - M 8.0〜8.5
1099年康和地震(南海地震) - M 8.0〜8.5
1360年紀伊・摂津地震(東南海地震?) - M 7.5〜8.0
1361年正平・康安地震(南海地震、東海・東南海連動説有) - M 8.0〜8.5
1408年紀伊・伊勢で地震 - M 7.0〜8.0
1498年明応地震(東海・東南海地震) - M 8.2〜8.4
1586年天正大地震(東海東山道地震、飛騨・美濃・近江地震) - M 7.8〜8.1
1605年慶長地震(東海・東南海・南海連動型地震) - M 7.9〜8
1611年慶長三陸地震 - M 8.1
1677年房総沖地震(延宝房総沖地震) - M 8.0
1703年元禄地震(元禄関東地震) - M 8.1
1707年宝永地震(東海・東南海・南海連動型地震) - M 8.4〜8.7
1771年八重山地震(明和の大津波) - M 7.4〜8.0
1793年三陸沖で地震(連動型宮城県沖地震) - M 8.0〜8.4
1843年十勝沖地震 - M 8.0、
1854年安政東海地震(東海・東南海地震) - M 8.4
1891年濃尾地震 - M 8.0
1896年明治三陸地震 - M 8.2〜8.5
1911年喜界島地震 - M 8.0
1918年千島列島ウルップ島沖で地震 - M 8
1933年昭和三陸地震 - M 8.1
1946年昭和南海地震 - 和歌山県沖〜四国沖、M 8.0
1952年十勝沖地震 - M 8.2
1958年択捉島付近で地震、 M 8.1
1963年択捉島沖で地震 - M 8.1
1968年十勝沖地震 - M 7.9(Mw 8.3
1994年北海道東方沖地震 - M 8.2
2003年十勝沖地震 - M 8.0
2011年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)Mw 9.0

遠い過去にM8が少ないのは、単に記録がなかったり、人口分布の問題で被害が無く、少なく見えるだけなのでしょう。

そしてなぜ、赤色と青色に分けたのかお気づきですね。

「50年住んでいてこんな出来事は初めて」
という人間に対して、
「たわごというな。地球に住んでりゃいつかは起こるのさ・・。」
「それがあんた達の生きた時代か、そうでないか、というだけのことさ」

という地球の声が聞こえてきそうです。

地震も台風も同じなのではないかと思います。
とは言いつつ、国交省の尻馬に乗り、1000年に一度の被害を防ぐスーパー堤防を、という馬鹿げた公共事業も御免被りたいですが、災害と真正面から向き合い、防災と減災と避難あるいは保証や保険といったものをうまく使い分けた心の準備、災害への備えを常に持っておく必要がありそうですね。
そういう意味の災害の年であればいいのですが。。



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2011年09月20日

耐震性の簡単チェック法


前回、「1階の耐力壁の量は、実は2階の広さに決定的に左右されるのです。」
その理屈は次回・・。
と書きましたが、その前に、いろんな数字ばかりを羅列してもピンとこないので、私がやっている「間取りプラン中の耐震性の簡単チェック法」をご紹介してておきます。

この方法は、WEBサイトの「契約サポート・サービス」でよく聞かれる問題で、
この間取りで、耐震等級3はクリア出来ますかと聞かれたときに行っている方法の一部です。

方法はいたって簡単です。
下の図を見ながら読んでください。


■1階に必要な耐力壁の量を計算する
私の場合はエクセルで表組みしていますが、手順は同じです。
まず、屋根の種類から地震係数を表から拾います。
次に、上下階比率を計算します。
そして、地震係数x床面積x上下階比率と計算します。
ここまでは、前回までに説明した部分ですね。

つぎに
■下の表から使おうとする耐力壁を選びます。といっても軸組工法の場合は、実際には「たすき掛け筋交い」しか使いません。(私の場合)

なぜなら、たすき掛け筋交いだけを使うかというと、実際の設計では構造用合板を使ったり、片筋交いを使ったりしますが、この2つの方法で足らなくなっても、たすき掛け筋交いに変更すれば、クリア出来るからです。言い換えれば、チェックなのだから、いったん、最も少ない量(最も強い耐力壁の一つ)で配置してみる、と考えれば良いですね。

そして
■実際の間取りに耐力壁を配置していきます。
たとえば、上の耐震等級2のとき、3960の量が必要な建物であれば、たすき掛け筋交いを配置する場合は、3960÷361=11カ所の壁に配置できればクリア出来るとわかりますね。
その際、窓やドアのあるところはダメです。長さ91cm以上の壁だけのところに配置していきます。
そして、地震は左右からしかこない・・なんてことはありませんから、図面の左右方向、上下方向それぞれに11カ所を超えるように配置していきます。

実際には、耐力壁のバランスとか、他にも耐力壁を配置するルールがありますが、極端に大きな開口部があるとか、変形した間取りでいなければ、とりあえずはこのあたりは無視して配置しておいても、後で設計者がうまく配置してくれます。
要は、希望している耐震等級をクリアするために、まずは、量的に配置できる壁があるかどうかのチェックですから。。

■可能かどうかのチェック
そして、図面の上下、左右方向に必要な耐力壁が割り振れれば、とりあえず今の間取りでも、耐震等級○○が可能だ〜ということがわかります。


2X4工法では、外壁と室内の間仕切り壁は、耐力壁の強さが変わるため、ここでは説明を省きますが、下のページを参考にしてください。ただ、後でも述べますが、一般的な間取りであれば、2X4工法では、耐震等級2を下回ることはまずありません。

より詳しいチェック方法は、下記のページへどうぞ。
軸組工法の耐震性チェック
2X4工法の耐震性チェック

11-0920.gif



■お断り
実際の耐震等級2.3のチェックでは、耐力壁のバランス、床の強さと耐力壁の配置のルールなどもチェックする必要がありますが、ここでは省略しています。
このブログではあくまでも、今の間取りに量的に配置可能かどうかを説明していますから、間取りによっては上の2点でアウトになる場合もあります。ただ、その場合は、大きなリビングであったり、開口部が大きかったり、変形した間取りであったりというやや無理な間取り設計から生じてしまう場合がほとんどです。



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2011年09月16日

2階の広さに左右される1階の強さ


さて、「地震係数」がわかると、「上下階比率」を計算します。
もっとも、上下階比率という言葉。
法律の解説書では「K1」と単に記号だけ振られているのですが、それではわかりにくいので、こちらで「上下階比率」なんて言葉を作りました。
ですから、設計者に「上下階比率」なんて言ってもわかりませんよ。

K1」(上下階比率)の出し方は簡単です。
これも四則計算で、家庭にある電卓だけで計算できます。下の数式で、
0.4+0.6x(2階の床面積/1階の床面積)
という式ですから、1.2階の床面積がわかれば計算できます。

11-0916-1.gif



では、耐震等級1(建築基準法とおなじ)と耐震等級2あるいは3の耐力壁の量は、どう違うのでしょうか。
下に「カラーベストなどを使った軽い屋根の住宅」を想定した計算式と計算結果、そして、耐震等級1を1としたときに等級2.3の時の倍率を書いていますが、2階の面積が大きくなるほど、耐力壁の必要量も多く必要になっています。
2階の床面積が1階の床面積の5割程度だと、1.08倍と本当に少なくて良いのですが、総2階では、1.55倍。
都市部で多い2階の床面積が1階の8割程度の住宅だと、約1.38倍の強さが必要になっています。

11-0916-2.gif

注:上の1階に必要な耐力壁の量の計算は、1階の床面積を100m2として計算しています。

昨日、「耐震等級2って、1.25倍の地震に抵抗するためには、基準法の1.5倍程度の耐力壁が目安だよ」と書きましたが、地方や郊外など土地の広い住宅に多い、1階に対する2階の床面積がちいさい住宅では、大きな強さを必要としませんが、都市部のようにほとんど総2階に近いような、2階の面積の割合が大きい住宅では、ほとんど基準法(等級1)の1.4〜1.5倍程度の耐力壁が必要だと考えておく必要があります。

1階の耐力壁の量は、実は2階の広さに決定的に左右されるのです

その理屈は次回・・。



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2011年09月15日

耐震等級2は、1.55倍


前回、耐震等級2は、建築基準法が想定している地震の1.25倍に抵抗できる基準なのだから、筋交いなどの耐力壁の量は、基準法の1.25倍以上入れておけばいいんじゃないの・・・というのは間違いです。と書きました。

下の表は、建築基準法(耐震等級1)と、耐震等級2.3の時にその階に必要な耐力壁の量を求める式なのですが、2つを見比べると耐震等級2.3では、違う要素の式が加わっていますね。


11-0915.gif


■耐震等級では、より複雑になっている
耐震等級1では、単に床面積に地震係数をかけるだけですが、耐震等級2.3では、上下階比率と地域地震係数の2つをさらに加味します。
注:上下階比率は法律的に語句が規定されている分けではないため、こちらで作った言葉です。
注:地震係数は一般的呼称です。


■地震係数は、最低でも1.55倍以上の量となっている
まず、地震係数の数値は、決められています。
そして、この地震係数を見てみると、基準法を1とすると、それぞれ1.55倍以上必要となっていますね。
同じ床面積であれば、単に1.25倍だけしていてはダメなんですね。
カラーベストやガルバリウム鋼板などの「軽い屋根」の家でも、1.55倍を目安にスタートする。和瓦、洋瓦などの「重い屋根」の家では、1.63倍を目安としてスタートする必要があるんです。

なお、難しそうな話をしていますが、この計算、ご家庭にある電卓だけで出来る極めて簡単な式ですから、今しばらくおつきあいください。(四則計算だけの算数ですから)

極論を書けば、耐震等級2って、1.25倍の地震に抵抗するためには、基準法の1.5倍程度の耐力壁が目安だよ〜ということです

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2011年09月13日

耐震等級のよくある誤解


耐震等級の誤解に行く前に、「耐震等級」についてのおさらいです。
「耐震等級」は3段階に分かれています。
そのうちの耐震等級の基準となる耐震等級1と建築基準法はおなじ強さです。

では、耐震等級1(建築基準法もおなじ)で想定している耐震性とは、どのようなものでしょうか。国交省の性能表示制度の解説では次のように書かれています。

倒壊に対しては、極めて稀に発生する地震(数百年に一度程度の頻度―東京を想定した場合、気象庁の震度階で震度6強から7程度)に対して倒壊、崩壊しない。
そして、建物が損傷を受ける程度を、稀に(数十年に一度程度)発生するの地震による力(東京を想定したときの震度5強程度)に対して損傷を生じない程度


そして、耐震等級2は、その1.25倍の地震に対して、耐震等級3は、その1.5倍の地震に対して対抗できる強さということです。
意味深長で曖昧な言い方ですが、簡単に言うと、
「耐震等級1って、大地震(震度7)では建物が倒れない程度の強さです〜」
「震度5強程度なら、外壁、内壁に被害は出ない程度の強さですよ〜」
と言っているんですね。


11-0913.gif



もっとも、建物の置かれた地盤によっても、地震の来る向きや強さによっても、加速度や応答スペクトルなんていういろんな地震の性質によっても、建物が受ける地震の力は一様ではありませんから、こういった曖昧さでしか表現できないのも仕方ありません。
さて、その耐震等級のいう1.25倍、1.5倍は、地震の強さを言っているのであって、耐力壁の必要な量がおなじなのではありません。

■時々ある誤解
建築主の方は仕方ないとして、設計者である建築士の人でも、時々、「耐震等級2って、1.25倍の強さに抵抗できるのだから、筋交いなども1.25倍入れておけば良いんじゃない〜」と誤解している人がいますが、本当はもっと必要なのです。

次回は、そのお話です。




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2011年09月12日

目指すべき耐震性の程度は−耐震等級2


地震のリスクが高まっていると言いつつ、では、どの程度の耐震性を目指すべきなのでしょうか。

その目安を説明する前に、9月2日に説明した「耐震性の歴史」をもう少し詳しく説明しておきます。
2000年に大きな法改正がありました。
筋交いなどに代表される耐力壁の量は昭和54年の法改正以来何も変わっていないのですが、
1.基礎の配筋が細かく規定された(2000年以前は無筋でも違法ではなかった)
2.ホールダウン金物などの耐震金物が詳しく規定された(2000年以前は、公庫だけが指定する、通し柱とか建物の角に必要とする曖昧なものだった)
3.耐力壁のバランスをチェックする法律が出来た
4.性能表示制度で耐震等級が出来た

という大きな法改正のおかげで、
2000念の以前と以降と耐力壁の量は変わらなくても、耐震性に対する「確実性」が大きくなりました。
実質的な耐震性のアップと考えても良いでしょうね

それをまとめたのが、下の図です。

11-0911-2.gif


つまり、2000年以前と比べて、耐震性の確実性や効果がより高くなったことを考えれば、これから建てる家の耐震性の程度は、「耐震等級2前後」を一つの目安にして取り組むのも一つの方向性ではないかと思います。

次回は
1.耐震等級の誤解(1.25倍、1.5倍の勘違い)
2.2階の床面積で変わる耐力壁の量(意外と知らないこの関係)
3.耐震等級の進展を阻む障壁(耐震等級の計算が出来ない設計者が多くいる)
4.工法別の耐震性の難易度(軸組、2X4、重量鉄骨、RC等々)
5.業者別の耐震性の対応度(大手、中小等々企業規模と対応度)
などを書き進めていきます。


■お断り
このブログは、おおむね1週間に5回の記事配信をしていますが、今後やや不定期な更新をする場合があります。ご了承ください。


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2011年09月09日

筋交いは、新技術


今では戸建て住宅を考えている人のほとんどは、『筋交い』とは何であるか、どういうときのために使われているのかを知っていると思います。
筋交いとは、在来工法あるいは軸組工法と呼ばれる建て方の時に使われる耐震のための材料の一つですね。

今でこそ、本当にポピュラーな「筋交い」なのですが、「筋交い」が本格的に使われ出したのは、どうも戦後のようなのです。

五重塔に代表される古代の日本建築や、古寺を見ても、あるいは戦国時代に建てられた城を見ても、はたまた誰それの生家なんて紹介されている古い古い民家を見ても、そして時代劇のセットを見ても「筋交い」なるものにお目にかかることはまずありません。

下の写真(東京銀座、1900年、明治33年)のように、すでに大きな通りには、瓦葺きの大きな2階建ての商家なども並んでいました。吉原の遊郭はなんと3階建てです。しかし、そのどこにも「筋交い」を使った建物は見当たりません。
そしてエドワード・S・モースという動物学者が書いた「日本のすまい、内と外」と言う本でも詳しく日本の建物を紹介し、丹念にスケッチを残していますが、そこでも「筋交い」の描写は一言もありません。

確かに今、私たちが目に出来る田舎の古い古い民家でも、筋交いは使われていません。
そのほとんどが、土壁と板張りの家屋です。
そしてある方の調べでは、鎌倉時代に一時期だけ「筋交い」が使われていたようです。

そうなんですね。
実は、「筋交い」って、戦後突然飛び出したのです。
なんと言っても、昭和25年に初めて出来た建築基準法には、「筋交い」は耐震のための材料として指定されているからです。


11-0909.jpg


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2011年09月06日

地震のものさし


地震の大きさや解析にはいろいろな尺度が用いられているようです。

■震度、マグニチュード
震度はもっとも簡単な尺度ですね。震度1から7まで。昔は震度を体感で決めていたそうですが、今では加速度や周期などの計測と計算式に基づいた「計測震度」が用いられているようです。(気象庁解説)
マグニチュードも地震の大きさを示すポピュラーな物差しですね。

■加速度(ガル)
揺れの速度が瞬間的にどれだけ上昇したか・・ということだそうですが、そう言われても、あまりピンとこない尺度です。専門家用の尺度です。

■固有周期
その建物の高さ(m)の0.02倍が、その建物の固有周期(秒)で、地震の周期と建物の周期が一致すると共振といってより強い揺れとなるそうです。建物にとって怖い状態です。
そして、高層ビルでは、今回の東日本大震災でも東京の高層ビルは大変よく揺れ、遠く離れた関西の高層ビルでも揺れたそうです。
ちなみに、高さ100m、30数階建ての高層ビルでは、2秒が固有周期と計算されますから、ゆっくりした周期の長周期地震が怖いといわれるゆえんなのでしょう。

■応答スペクトル
東日本大震災が震度7の大地震であったのに、阪神大震災よりも建物被害(特に木造系)が少なかったのは、木造住宅が反応しやすい1〜2秒間の応答スペクトルが少なかったためとも言われています。(東大地震研究所)
なるほど、そういうものなんですか、としか答えられない話ですが、そういうものらしいです。

■揺れの長さ
反対に同じ震度ながら、地震の揺れが短かった阪神大震災では液状化被害が少なく、揺れが長かった東日本大震災では、液状化被害が拡大したとも言われています。
これは理解しやすい話ですね。

ダラダラ書いてきましたが、何が言いたいのか。

■結論
専門家が計算する数式や科学式には、一定の根拠があるのは勿論です。
そして、それによって過去の大きな地震と比較検討をすることも出来ます。
あるいは大きな建物の耐震設計に寄与していることも事実です。
でも、いくら科学が発達しようが、いくら難しい計算が出来ようが、次に来る地震がどんなタイプの地震なのかなんて、誰も想像出来ません。今、出来るのはせいぜい「マグニチュードと範囲の想定」でしかありません。どんな加速度で、どんな周期で、どんな長さで、応答スペクトルはなんて逆立ちしてもわかりません。

地震が来る来るとわかっていてもせいぜい、その程度の予見能力しか持ち合わせていません。

11-0906.gifとはいいつつ、今の耐震技術は、建物に大きな被害を及ぼさない一定のレベルまで達していると思いますから、そういう面の悲観論は考えすぎですよ。(注:超高層ビルは私は一切分かりません)

だから、予断を交えず、備えよう。
それにしても、災害は、常に人知を超えてくるものだと、台風12号の進行経緯と被害を見て改めて思います。

次回は、「筋交いって、昔は使わなかったよ」というお話です。


注:超高層ビルは、日本の最先端の技術が結集されています。
しかし、地震にはまだまだ未知な部分が多く、ましてや、本格的な大地震あるいは長周期地震には一度も遭遇していません。そういう意味で、地震の洗礼を受けていないので、どんな「想定外」の被害が出るのか、でないのか、全く分からないと考えておいた方が自然に対して謙虚だと思います。
科学者、設計者の著しい思い上がりと怠慢は、すでに福島原発事故で十分に経験しましたからね


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2011年09月05日

軟弱地盤の定義について


軟弱地盤には、定義があるよ〜というコメントをいただいたので、ついでながら、「軟弱地盤」のもう少し詳しい説明を加えておきます。

法律(告示1793号)では、地盤を3つに区分し、その中の「第三種地盤」というものを『著しく軟弱な地盤』というふうに規定しています。
そして、構造計算などを行う建物では、第三種地盤として行政から指定されている地域では、耐震性を1.5倍にしなければなりません。(木造2階建て程度の構造計算が必要にない建物では規定されていません)

11-0905.gif


■第一種地盤
簡単に言えばいわゆる岩盤でしょうね。住宅地で言えば山裾や山間部の宅地で時々お目にかかりますし、類似のものとしては丘陵地帯でも、極めて強固な地盤に出会うことがあります。でも滅多に出会いません。住宅地の数パーセント程度でしょうか。そういう場所って、結果として不便な場所ですからね。

■第二種地盤
普通の地盤から、少し軟らかい地盤、軟弱地盤まで混ざった普通の地盤です。
2.3mで堅い地盤にたどり着くところもあれば、10m以上の深さでやっと堅い地盤にたどり着く場合もあります。この間に貯まった地層によって「普通の地盤」とか「軟弱な地盤」に分かれるんですね。おおざっぱにこの中の4割程度で地盤補強が必要です。(いわゆる軟弱地盤)

■第三種地盤
著しく軟弱な地盤」として区分されます。
そもそも@の腐植土のあるようなところで住宅を含めた低層建物は建てられません。Aはどちらかというと埋立地ですね。しかし、行政としては小さな「沼沢」を民間業者が埋め立てて造成しても、いちいち第三種地盤になど指定していません。いわば「隠れた−著しく軟弱な地盤」です。
注:そもそも@の地域は住宅地であれ、工業団地であれ、開発そのものが不可能な地域です。全ての建物に30mの杭を打ち続けるなど採算面で出来ませんから。


■隠れ−第三種地盤

結局、「著しく軟弱な地盤」についての定義はあるものの、その実際の運用についてはやや疑問のある制度ですし、第三種地盤に指定されていないが、その類似の地盤(小規模な沼沢埋立地に類するもの)はいくらでもあるでしょう。土地がないので、そういうところまで手を出して開発をしています。

■地震の増幅は累進的だろうし、
そして、「著しく軟弱な地盤」だけが突然、地震が増幅され、他の軟弱な地盤では増幅されない・・なんて言うこともないですから、要は「軟弱地盤の耐震性は高めておいた方がよい」と言うことに他ならないと思います。

そういう意味では、世間で言うところの「軟弱地盤」という定義そのものが曖昧ですし、法律を一律的にとらえるのではなく、その背景を知って、実際のリスク管理に利用するべきでしょうね。

■余談ですが、第三種地盤では、腐植土層であれば30m以上の厚みを指定していますが、たった2〜3m程度の厚みの腐植土層であっても、住宅を建てれば1年も経たずに大きく建物が傾いていきます。法律なので、何かの区切りを入れなければならないという宿命から、たとえば30mという数値を使っていますが、これが専門家にとっての免罪符に使われてはならないと感じます。



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2011年09月02日

耐震性の歴史と強さの程度


11-0902-3.gif


建築基準法という法律は、戦後すぐの昭和25年に出来ました。
耐震性に関しては、それから3回の改訂を加えています。

■昭和25年から昭和34年
耐震性の規定はあったものの、今の法律(建築基準法=耐震等級1)の32%程度の耐震性しかありませんでした。

■昭和35年か昭和55年
昭和35年に見直しが行われたものの、今の法律(建築基準法=耐震等級1)の48%程度の耐震性しかありません。

■昭和56年から平成11年(1999年)
鉄筋コンクリート造の建物などでは、「新耐震基準」と呼ばれていますが、大幅な基準改訂があり、耐力壁の量だけは、今の基準と同じになりました。
しかし、基礎の鉄筋は無筋でもよく、ホールダウン金物などの規定は設けられていませんから、今の法律から比べれば、単に耐力壁の量の基準だけが見直されたに過ぎませんでした。

■平成12年(2000年)以降
性能表示制度がつくられ、構造基準も詳細に法制化されました。
耐震等級が出来たのもこの時です。(耐震等級の利用は任意です)
耐震等級2は、建築基準法の1.25倍程度の強さがあるとされていますし、耐震等級3は、基準法の1.5倍の強さがあるとされています。
それ以外に、耐震金物をつけろ。基礎に鉄筋をいれろ。耐力壁のバランスをチェックしろ、といった細かな規定も作られました。

その原因は、木造住宅だけに限らず、建築物に甚大な被害をもたらした阪神淡路大震災でした。
その後、新潟中越地震がありましたが、建築的にはあまり特徴的な被害はありません。
そして、東日本大震災は、建物被害よりも津波と液状化に象徴される地震でしたね。


■今の基準
平成12年(2000年)に耐震金物や基礎の有筋化等々の阪神大震災で判明した木造住宅の弱点が法制化されたため、昭和54年と同じ耐力壁の量でありながら、トータルの耐震性は高くなっています。また、、耐震等級という新しい考え方も取り入れられたため、基準法をクリアさせただけの耐震等級1から、より耐震性の高い耐震等級3までの、任意の耐震性を選ぶことが出来る時代に入っています。


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posted by WM.Hori at 10:01| Comment(0) | TrackBack(0) | ■耐震性を考える

2011年09月01日

軟弱地盤は良く揺れる


耐震性のことを解説した本に必ず載っていることがあります。それは、
軟弱地盤はよく揺れるので、耐震性を基準より1.5倍引き上げておこう』といい記載です。

■軟弱地盤はなぜよく揺れるのか
それはある現象を想像してみるとよくわかります。
まな板の上にチーズといういわば硬い材料と、豆腐、あるいはプリンといった柔らかい材料を載せてまな板を左右に揺すれば、チーズより豆腐やプリンの方が良く揺れるだろう、ということは想像できると思います。
地盤も強い地盤はよくしまっており、硬いです。その代表格がいわゆる岩盤です。容易に崩れません。しかし、軟らかい地盤は簡単にゆるんでいきます。砂などはその代表格で、その緩みが揺れを増長させるのでしょう。
地震も同じで、震源地で発生した「揺れ」は、硬い地殻を伝わって遠くまで振動していきます。文字通り『地』の『振動』ですからね。
そして、まな板の例にように、硬い地殻=まな板を伝わった「揺れ」は、固い地盤より、軟らかい地盤の方がよく揺れるという理屈です。

■軟弱地盤の定義は
では、柔らかい地盤とは何かというと、明確な定義はありませんが、地盤補強が必要な地盤と考えれば良いでしょうか。もちろん、重い鉄筋コンクリートの建物と軽い木造の建物とでは、軟弱地盤の定義も違うのですが、地震の力は建物の重さに比例しますから、それぞの構造でも軟弱地盤と考えれば良いでしょう。

■住宅の半分近くは軟弱地盤
別の機会に言いましたが、住宅地のほぼ半数近くの宅地は、何らかの地盤補強が必要な軟弱な地盤の上に建てられています。
軟弱地盤だから必ずよく揺れるんだ〜というほど均一的なものではありません。地震があれば必ず軟弱地盤の建物だけが倒壊、大破する・・という単純な構図ではありませんが、揺れやすい傾向があるのなら、その対策をしておいても間違いではありませんね。
1.5倍とは、耐震等級2を少し超えた程度です。(耐震等級の話は別途進めます)
軸組工法であれば、ほんのわずかな費用でかなえられる程度の強さですから。

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posted by WM.Hori at 12:31| Comment(1) | TrackBack(0) | ■耐震性を考える

2011年08月25日

千年に一度の巨大地震の世紀」首都圏直下型や3連動型の可能性も」

これから少し「耐震性」の話題について書いてきたいと思っていますが、少し前、下のようなニュースを読まれた方もいるのではないでしょうか。

「千年に一度の巨大地震の世紀」首都圏直下型や3連動型の可能性も」
産経新聞 8月3日(水)3時15分配信


・・・以下引用・・・・・
 東日本大震災規模とされる平安時代の貞観(じょうがん)地震(869年)や関東直下型地震、東海・東南海・南海地震の3連動とみられる仁和(にんな)地震など9世紀に起きた地震が、阪神大震災(平成7年)以降の地震の状況と酷似していることが、産業技術総合研究所の寒川旭・招聘研究員(地震考古学)の分析でわかった。

近い将来に首都圏直下型や3連動型地震が起きる可能性が高いとの見解を示し、「千年に一度の巨大地震の世紀になるかもしれない」と警鐘を鳴らす。

 寒川氏は、古代以降の文献史料とともに、各地の遺跡で発掘された地割れや液状化現象による噴砂などの地震痕跡を調査。9世紀前半に関東北部や東北などでマグニチュード(M)7前後の地震が相次いだ後、貞観地震が発生していることを確認した。

 貞観地震は当時の歴史書「日本三代実録」に、「海は猛(たけ)り吼(ほ)え、津波が怒濤(どとう)のように多賀城下に押し寄せ、千人がおぼれ死んだ」と記述。当時の海岸から約5キロ内陸の多賀城跡(宮城県多賀城市)周辺では道路が寸断された跡が見つかり、仙台市などでは津波で運ばれた堆積物もあった。

 878年には関東南部でM7以上の直下型地震が発生。887年の仁和地震では、日本三代実録に「都(京都)の建物は倒壊し、圧死する者多数。海岸には海潮(津波)が押し寄せ、無数の人がおぼれ死んだ。大阪湾岸も津波被害が甚大だった」と記録。東海から四国にかけて甚大な被害があったという。

 寒川氏の分析によると、最近数十年間に秋田などで死者100人以上を出した日本海中部地震(昭和58年、M7・7)や阪神大震災(M7・3)、新潟県中越沖地震(平成19年、M6・8)など各地でM7前後の地震があり、その後東日本大震災が発生した点が、平安時代の状況と共通していると指摘した。

 首都圏直下型地震や東海・東南海・南海地震について寒川氏は、いずれもフィリピン海プレートの影響下にあり関連が深く、過去の首都圏直下型や仁和地震に匹敵する3連動型地震が発生する可能性が高いとした。


 また、6月30日に長野県中部で起きた震度5強の地震は、千年あまり活動がなかった牛伏寺(ごふくじ)断層付近で発生。7月5日にも和歌山県北部で震度5強の地震があったことからも日本列島が活動期にあることが改めて浮き彫りになった。

11-0825-1.gif 一方、古代以降、M8・2程度の元禄関東地震(1703年)や3連動型の宝永地震(1707年)があった「18世紀初め」、安政東海地震(1854年)や、高さ9メートルの津波が襲ったという翌日の安政南海地震、死者1万人といわれる安政江戸地震(1855年)が起きた「幕末」にも巨大地震が集中したが、三陸沖では東日本大震災に匹敵する地震はなかった。

 寒川氏は「東日本大震災では『想定外』という言葉がしばしば使われたが、文献史料には過去の巨大地震が詳しく記されており、決して想定外ではない」と話した。

・・以上引用・・・・

そんなこんなで、少し耐震性についての話を進めてみたいと思います。


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