2016年06月09日

筋交いは戦後の産物


軸組工法で多用されてきた「筋交い」
でもこの筋交い、実は戦後の産物なのです。

★エドワード・S・モース 「日本の住まい」
だれしも観光などで神社仏閣に行くこともあるでしょうし、明治時代の古い建物なども観光地には残されています。でも、これらの建物で筋交いが使われた形跡はありませんね。少なくとも見たことがありません。
16-0609.gifエドワード・S・モースというアメリカ人が、明治10年〜12年の間に日本を訪れ、建物の印象を克明に書いています。そこでは、「建物の骨格に筋交いはない。」と明確に断定した上で、続けて「しかし、建物の構造体が弱いときは、(略)控え柱によって柱が補強され、栓でとめられることがある」と書かれています。
控え柱とは、挿絵によると「方杖」や本当の意味の「つっかえ棒」です。

★筋交いは戦後の産物
つまり、私たちにとって非常になじみの深い筋交いは、実は戦後、戦後復興と高度成長の時代にあわせて設けられた耐震上の仕組みだったのです。
しかも、昭和25年の時点で、たすき掛け筋交いの強さは、今の1.5倍と決められていました。さらに、その筋交いは釘2本、あるいはかすがいで留めるだけで良かったのです。

まぁ・・。今から思えば、せいぜい「つっかえ棒」程度の強度しかありませんね。
筋交いプレートが公庫融資の仕様書にかかれだしたのが、昭和55年頃です。
これも使うのは任意ですから、その当時でも釘だけで筋交いを留めている工務店も多くありました。
筋交いプレートを使え、と法律で決められたのは、なんと平成12年。

★高度成長、大量生産の産物
戦後復興と高度成長の時代は、何よりも早さが大事です。悠長に建物など作っておれません。また、戦後多かったのは地震ではなく台風被害でした。そのことも「釘だけで留めていい筋交い」が大手を振ってまかり通っていた理由の一つなのでしょう。

★検証のないまま便利に使われてきた筋交い
今でも軸組工法(在来工法)で建てる工務店が、大工が後生大事に守っている「筋交い工法」
その歴史を知れば知るほど、検証のないまま便利に使われてきた高度成長、大量生産の産物、おそらく、早く建物を建てるための妥協の産物だったのでしょう。

伝統工法だ、なんだかんだと言いつつ、歴史的実体のない筋交いを伝統工法だと思っていたら、それは大きな間違い。そんな勘違いをしている工務店、大工には要注意ですね。





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posted by WM.Hori at 12:16| Comment(0) | 熊本地震に思う
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