2020年01月20日

修理難民−深刻な人手不足と時代背景


■減り続ける労働力人口
 時代は少子高齢化。もう、言い尽くされた言葉ですね。
 下の図に示すように、労働力人口はドンドン少なくなっていきます。
 そのためか、「政府は、希望する高齢者が70歳まで働けるようにするための高年齢者雇用安定法改正案の骨格」を発表しました(2019.5.15、日本経済新聞より)。
 また、昨年(2019年)から「黒字倒産」「人手不足倒産」が増えたと言われています。

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注:上の図は、総務省|平成26年版 情報通信白書より



■労働条件は過酷
 う〜ん。建設業って完全な肉体労働です。
 合板の重さは、1枚16kg程度、石膏ボードも同様です。サイディングはもう少し重いです。外壁に塗るモルタルのバケツ一杯も似たような重さでしょうか。
 そんなものを1枚づつ運んでは張っていく、塗っていく。肉体労働以外にはありません。
 だから、なかなか若い人は入ってきませんし、続きません。

 そのためか、大工さんなど職人さんは、「腰痛」「肩こり」「腱鞘炎」などに悩まされます。
 60〜65歳程度までは何とか痛みをこらえて、あるいは身体を誤魔化して仕事を続けられても、それ以上は一日中の現場仕事は難しくなる年代です。事務職や軽作業であれば70歳でも働くことは出来るのですが、現場作業は難しい。
 ですから私などでも現場で若い人を見かけると「あっ。若い人がやっている」と軽い感動を覚えます。

 では、身体がつらいから現場では4時間だけ働く・・なんていう働き方改革が出来るのか。
 そんなことをしたら、工事工程など組めません。
 新築現場に、「この現場の大工は高齢者だから、半日シフトでするから完成まで半年かかる」なんて言えませんし、使えません。

■余剰を認めてくれない時代背景
 また、時代は長く続く低成長時代。
 高度成長期であれば、小さな会社でも一人ぐらい余剰人員を抱えていても会社は廻っていたのですが、低成長時代、デフレ時代が長く続き、かつ、流通がリアルタイムで届くようになると、もはや、余分な在庫も、余分な人も必要ありません。

結果、会社に余裕は無く、大規模災害で大量の修理の仕事が発生すると、もう廻らなくなってしまいます。
・少子高齢化による労働力人口の減少
・仕事がら、労働寿命の伸びが期待できない
・低成長等や合理化により必要最小限の人員構成になってしまった会社組織

■不定期、予測不能な突発災害の対応は、ドンドン難しくなる
 結局、突発的な仕事の発生、災害のような不定期で発生が読めない仕事への対応はどんどん難しくなるという時代背景があります。
 そんな時代では、住まいを考える際にどんなことに気をつけた方が良いのでしょうか??

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posted by WM.Hori at 10:36| Comment(0) | ■いろいろ(未分類)

2020年01月14日

災害と修理難民−修理完了までの経緯


 前回、私が18年ほど前に関わった住宅の瓦が少しズレ、それを直す屋根業者が見つからず、結局直せたのは台風から1年半を経過してからでした、と書きましたが、修理が完了するまでには、具体的には次のような経緯をたどります。

■事故直後
 ある住宅会社では、台風21号の少し前の台風20号(8月24日)の被害とあわせて、たった10日で80件もの修理依頼が舞い込みました。
 屋根からの雨漏り、窓からの雨漏りをはじめ、瓦が飛んだ、樋が外れた、波板が飛んだ、板金が外れた、庇が割れた、何かの部材が庭に落ちている・・・など『漏れた・飛んだ・外れた・割れた』が圧倒的に多かったとのことです。

これは、千葉を襲った2019年9月9日の台風15号も同様でしょう。

■一つの屋根業者に修理依頼が300件越え
 しかし、その住宅会社がいつも発注している屋根業者には、そのときすでに300件以上もの修理依頼が舞い込み、急を要する工事から行うため順番待ちでしか動けませんでした。
 そして、新築工事でも、完成間近なのに屋根材が葺けないので引き渡しが遅延するという事態にもなっていました。
 もちろん、屋根業者はいろんな住宅会社と取引しているので、そのような取引先からの修理依頼と、被害を受けた人が探して直接依頼してきたケースもあるでしょう。

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■結局、修理できたのは1年半後
 そして、冒頭の方(大阪府南部)の場合は、当時建てた会社は無くなっていました。
 そのため、自分で修理業者を探さざるを得ませんでした。
 あっちこっちの屋根業者に連絡を入れ、大阪府下だけで無く、兵庫県や和歌山県、三重県など近県の屋根業者にも修理依頼をしたのですが、どこも順番待ちだったそうです。
 順番待ちと言うよりも、屋根業者もあまりに修理依頼が多いので、「とりあえず受付だけしておくね。名前だけ聞いておくね。いつ取りかかれるか全くわからない」という返事がほとんどだったそうです。
 後で聞いた話では、兵庫県の西部地区からも屋根業者がかり出されていたようです。

■一日千秋の思いか?
 被害の程度は様々だろうと思いますが、修理完了までの日々を考えると、少しぞっとしますね。
 屋根材がさらにズレないか。雨漏りは起こさないか・・等々なかなか眠れない日々を過ごした人も多いのでは無いでしょうか。
 具体的な数はわかりませんが、テレビを見ている印象では大阪の台風15号の被害よりも、千葉の台風21号の被害の方が広範囲で多かったように思います。関東圏の方が業者の数が多いとはいえ、新築工事もしながらの修理です。修理の完了までには相当の期間がかかると予想されます。

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posted by WM.Hori at 10:22| Comment(0) | ■いろいろ(未分類)

2020年01月08日

災害と修理難民−1

去年、一昨年とたてつづけに大きな台風の被害がありました。

【2018年(平成30年)、台風21号】
大阪に上陸した台風ですが、
死者14人、負傷者980人(重傷46人、軽傷934人)
住家の全壊68棟、半壊833棟、一部破損9万7009棟、床上浸水244棟、床下浸水463棟
の被害を及ぼし、住宅で言えば、屋根材があちこちで吹き飛ばされたのが印象的な台風でした。

私が18年ほど前に関わった住宅の瓦が少しズレ、それを直す屋根屋が見つからず、結局直せたのは台風から1年半を経過してからでした。
修理に1年半もかかったのは、台風により修理をする案件が一度に大量に発生したためでした。

【2019年9月9日 台風15号】
千葉県に上陸した台風は、千葉県南部に大きな被害をもたらしました。
千葉県だけの被害だけでも、
住宅の全壊363棟、半壊3929棟、一部破損62986棟、床上浸水37棟、床下浸水54棟
と、こちらも上の台風19号と似たような被害を持たしています。
どちらも、屋根が飛ばされる被害です。

下の写真が象徴的です。
住宅の家の多くにブルーシートが張られています。
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また、電気が止まったのも大きな特徴で、9月9日8時の時点で最大93万軒が停電し、完全復旧は24日19時でした(東電資料より)。約16日間です。
東電自体も「近年の他電力事例と比較し,最大停電軒数は少ないものの,停電解消に至るまでの復旧が⾧期
化」していると述べています。

さて、この2つの台風、実は人不足という大きな現実を突きつけられています。
修理難民です。

この話の続きは次回に・・。

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posted by WM.Hori at 11:15| Comment(0) | ■いろいろ(未分類)